学びの場
[2022/03/21]葛飾区中央図書館ビジネスセミナー
「うつ病闘病記から学ぶメンタルヘルスの守り方」開催報告
3月21日(月・祝)、葛飾区立中央図書館にて、オンラインビジネスセミナー「うつ病闘病記から学ぶメンタルヘルスの守り方」が開催されました。講師は、ご自身が勤務先でうつ病を発症し、約1年間の休職を経て復職した経験をもつ小泉亮太会員です。日本では、メンタル不調者が年々増加傾向にあり、特にコロナ禍ではこの傾向がさらに強まっていると言われています。今回のセミナーには、20代から70代まで幅広い世代の方々が30名近く参加され、時世に合ったテーマへの関心の高さを感じました。
■セミナー概要
本セミナーは、ご自身や周囲の方のメンタルヘルスケアに活かせるように、病気を知り、備えるポイントについて理解を深めることを目的にした内容となっています。冒頭にうつ病罹患者が増えていることやメンタルヘルスへの関心が高まっているといった社会的な状況の説明がありました。そして、第1部では、「知る」をテーマにメンタルヘルスやうつ病について理解すること、第2部では、「備える」をテーマにメンタルヘルス不調から自分や家族をはじめ、部下や同僚など周りの人を守るための対応について小泉会員の経験も交えながら紹介がありました。
■第1部 知る
メンタルヘルス不調とは何か、その中で特にうつ病について、発症から復職に至る一連の状況を詳しく知ることができました。要所でご自身が経験されたうつ病当時の想いや感想を交えることで、リアル感のある深い内容が伝わってきました。具体的にどういった症状になるのか、どういった心情になるのか、小泉会員が当時を振り返りながら話す姿に心を打たれました。また、うつ病は風邪のようには治らない、治癒ではなく「寛解」であると話された時には、うつ病に対する自分の認識が不十分であることに気づかされました。改めて、うつ病について正しい知識を持つことの大切さを学びました。
■第2部 備える
うつ病にならないための対応方法について、自分を守る(セルフケア)、家族や友人を守る、部下や同僚を守る(ラインケア)といった視点で話がありました。自分を守るという点においては、何が自分にとってストレスであるか把握することが大切で、その上でストレスへの対処として、ストレスコーピング(ストレスに対処するための行動)の一つである気持ちを安定させる方法について学びました。紹介のあった「こころのスキルアップトレーニング(認知療法)」と「マインドフルネス瞑想」については、ワーク形式で小泉会員と参加者が一緒に考え、体験する場面もあり、理解がより一層深まりました。
家族や友人を守るという点では、励ます、気晴らしに誘う、焦って決断するといった3つのNG対応について分かりやすい説明がありました。今までNG対応をやっていたなと思われた方も多かったのではないでしょうか。
部下や同僚を守るという点では、部下や同僚の異変に気付くことの大切さを認識しました。最後にはうつ病を含め、メンタルヘルス対策は人的資源管理の最重要テーマであるという経営視点での指摘もあり、中小企業支援の一つとして重要な位置づけであることを学びました。

■最後に
小泉会員の終始落ち着いた安心感のある語り口は、聞く人の心に深く刻まれるような感じを受けました。講義の途中のワークで行われたラインケア関連のクイズで、小泉会員から「ぜひ答えをチャットに投稿してみてください」との問いかけに、参加者から回答が続々と投稿される場面もあり、参加者と双方向のやりとりが行われていたのも印象的でした。うつ病の経験を公表することについては心の葛藤があったと思いますが、このような経験談を聞くことができたのは、自身として、また周りの人を「守る力」を高める気づきが多く、大変貴重な機会で感謝したいと思います。質疑応答でも多くの方から質問があり、一つひとつ丁寧に受け答えしていた小泉会員の姿に誠実感を覚えました。質問の回答を受けた方が、「ありがとうございます。試してみます。」とチャットに記載する様子から、小泉会員のセミナーが参加者にとって大変有益な機会になったと感じました。

本セミナーの内容は城東支部YouTubeチャンネルで配信中ですので、ご興味のある方はぜひご覧ください。