学びの場
[2022/05/29]葛飾区立石図書館ビジネスセミナー
「お客様に信頼される質問のコツ」開催報告
葛飾区立立石図書館ビジネスセミナー「お客様に信頼される質問のコツ」が、5月29日の日曜日の午後に開催されました。講師は、法人営業に20年以上携わる中で多くのお客様と接してきた営業のプロフェッショナルである飯沼正博会員です。新型コロナウィルス感染防止のため、席数を30名に限定し、会場入り口では検温と手指の消毒、休憩中は換気を行うなど、しっかりと対策を行った中で実施されました。当日は気温30度を超える今年一番の暑さの中、40代〜50代の方を中心に、男性12名、女性4名の計16名の方が参加されました。会場の席が前方から埋まっていく様子に、受講者の関心の高さがうかがえました。また、2時間のセミナーの最後まで熱心に講義に聞き入っていたのが印象的でした。
■セミナー概要
実は話し下手で人見知りだという飯沼会員は、商談が得意ではなかったといいます。何とか商談を乗り切るために試行錯誤を繰り返した中で得た気づきが、「質問することで、お客様との信頼関係やWin-Winの関係が構築できる」ということでした。講義では、いい質問をするための質問のコツ、つまり「質問前の準備」「質問の内容」「質問の仕方」について、自身の経験を交えながら分かりやすくお話しいただきました。
(1)質問前の準備について
質問前の準備として、最初に、視覚情報の重要性がメラビアンの法則を用いて説明され、実践のコツとして飯沼会員が考案した「聞き方あいうえお」が紹介されました。大きなアクションでのうなずきや笑顔など、相手に視覚的に伝わるような聞き方について、受講者も一緒にやりながら参加型で講義が進んでいきました。次に、お客様に合わせて質問するための「課題やニーズの想定」と「お客様のソーシャルスタイル」について解説がありました。ソーシャルスタイルでは、コミュニケーションの特徴を4つの武将タイプで分類するなど、年配の方にも理解しやすいような説明をされていたのが印象的でした。
(2)質問の内容について
10分間の休憩を挟んだのち、いよいよ「いい質問の内容」を決めるための基本ポイント「6W2H」について、一つ一つ丁寧に解説がありました。このパートでは、6つのWと2つのHという質問内容を考える際のポイントが合計8つも登場するため、随所に個人ワークを挟みながら、受講者を飽きさせない工夫が見られました。受講者も真剣にワークに取り組んでいました。「なぜお客様に質問するのか?」を問うワークでは、質問をきっかけにお客様との信頼関係を構築することが、新規顧客の増加や顧客生涯価値の向上につながるのだと説明されました。これには、会場の受講者も大きくうなずきながらメモを取っていました。
(3)質問の仕方について
最後のパートでは、お客様の心情を考慮した、実践的な質問の仕方である「セット質問」について4つの事例が紹介されました。ただ質問をぶつけるだけではなく、目的に応じて他の情報をセットにして質問することで、相手にとって分かりやすく、答えやすくなるといいます。それぞれのセットについて、自身の体験をふまえた具体的な例を用いた説明があり、大変分かりやすく、どれも明日から使ってみようと思えるような実践的なものでした。最後に番外編として、お客様から学ぶ質問学習法の紹介があり、これまで解説された計12個もの「質問のコツ」を振り返って講義の結びとなりました。
講義後の質疑応答では、実務でのケースを想定した内容の質問が複数出るなど、受講者は講義で聴いた内容をさっそくご自身のビジネスに結びつけて理解を深めているようでした。本セミナーは、質問をきっかけとして相手のビジネスの課題を抽出しその解決法の提案につなげるという点で、中小企業診断士が経営者にヒアリングをする際にも役立つものだと思います。
■最後に
図書館ビジネスセミナーでは、テーマに関連する書籍を会場の一角に集めて閲覧できるようにしています。今回も、営業担当者がお客様と接する際のコミュニケーション向上に役立つ書籍が展示されており、実際に手に取って閲覧されている受講者も見かけました。
本セミナーは当初2月に実施される予定でしたが、コロナ第6波の影響により延期となり、ようやくの開催となりました。前年度に引き続きオンラインセミナーを併用して実施された、令和3年度の城東スキルアップ生による図書館ビジネスセミナーは今回が最終回となります。本年度の城東スキルアップ生による図書館ビジネスセミナーはどんなテーマで実施されるのか、今から楽しみです。
本セミナーの様子は、東京都中小企業診断士協会城東支部の公式YouTubeで視聴することができます。ぜひご覧ください。
(中川雅雄 会員)