城東支部

学びの場

[2023/07/01] 2023年度 城東スキルアップコース 第2回 開催報告

7月1日(土)、2023年度城東スキルアップコースの第2回目が明石町区民館にて開催されました。32名の受講生中、31名が出席しました。

 

第2回目のプログラムは次のとおりです。

1.課題図書「ロジカル・シンキング」の受講生発表

2.BMC(ビジネスモデルキャンバス)活用支援

3.知的資産経営

 

1.課題図書「ロジカル・シンキング」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)

課題図書の1回目は、著者:照屋華子・岡田恵子の「ロジカル・シンキング」を題材に、2つのグループに分かれたうえで、各自3分間のプレゼンテーションを実施しました。また、本書に関する意見交換等も実施しました。

その後、受講生全員で鈴木康文会員の講評を拝聴し、また、それぞれのグループを代表する受講生がプレゼンテーション・意見交換等の様子を説明しました。

プレゼンテーションの時間は僅か3分間ですが、受講生によって伝え方が様々であったのは印象的でした。

 

2.BMC活用支援(講師:平山弘之会員)

城東支部のEAF(East Activation Forum)委員会の委員長でもある平山弘之会員から前半はビジネスモデルキャンバス(以下BMCと略称)の説明、後半はカフェチェーン企業を題材にBMCを各受講生で作成し、発表を行いました。

  • BMCの成り立ち

城東支部のEAF委員会が城東支部の独自診断ツールとして作成したものです。BMCの出自は、アレックス・オスターワルダー氏の「ビジネスモデル・ジェネレーション」ですが、著作権問題をクリアしており、自由にカスタマイズすることが可能です。EAF委員会では診断士にとって効果的なツールとすべく、2018年からツール作成に2年間取り組み、トライアルと追加開発に3年をかけて今に至っているとのことです。ここまで手間暇をかけ、診断士が使いやすいように作成されたツールが存在することに驚きました。

  • BMCの目的と効果

BMCは、顧客起点で提供サービスの裏の流れを一連の仕組みとして整理し、新ビジネスモデルの変革への探求を経営者と一緒に行うためのツールです。エントリーレベルの診断士でもBMCを利用することにより、網羅性を持って経営者へのヒアリングができるようになります。

経営者は現状の優先度の高い問題に関心が強く、通常のヒアリングで網羅的にビジネス全体を考えた議論までたどり着くことが難しいです。BMCを使うことによって、将来目指す姿の共有やそのために大切にすべき理念やミッションの再認識、理想像を目指した真に必要な解決策の検討へと経営者の目を向けさせる効果があったとのことです。我々エントリーレベルの診断士でもBMCは有力な武器の一つであることを実感しました。

  • BMC活用上の考慮点

BMCを使用する上での注意点に関して、以下の3つをご説明いただきました。

・ビジョンや外部環境の要素がツールに組み込まれていないため、他ツールとの組み合わせでの対応が必要なこと

・時系列での変化や多事業が同時進行しているケースや小さい会社で経営者がすべてを理解している場合は不向きであること

・信頼関係が大事であり、徹底した聞き手にまわることが重要であること

本講義を通じて、経営者との信頼関係の醸成や正しい状況認識と因果関係の把握といった診断士としての基本的な技術を習得しました。そのうえで、ツールの強み、弱みを理解し、他ツールとの組み合わせなどの工夫をすることが必要である旨もよく理解できました。BMCを効果的に活用するために、より一層の研鑽をしていかねばと思いを新たにしました。

3.知的資産経営(講師:細野祐一会員)

細野副支部長より知的資産経営の講義を行っていただきました。本講義では、①知的資産経営の概要、②ローカルベンチマークや経営デザインシートなどのツールの紹介、③知的資産経営支援事例、④実際の知的資産経営報告書を用いたグループディスカッションの構成で行われました。

知的資産経営の概要では、経営改善のベースとなる知的資産=強みを見える化することが重要であることを学びました。具体的な見える化の手法として、知的資産経営報告書の作成を行うことで、売上向上や事業承継、人事採用など多岐にわたる効果が期待できることも新たな学びとなりました。

ツールの紹介では、多くの受講生が知っていたローカルベンチマークにおいて、特に深く学ぶことができました。目に見えない知的資産を認識させることで、新たな事業の展開につなげられた事例も紹介いただいたこともあり、実践してみたいと思いました。

知的資産経営支援事例では、多くの段階を丁寧に踏んでいくことが実際の現場では重要であるとわかりました。具体的には、経営者のヒアリングからワークショップによる従業員への強みの共有を図るなどです。知的資産経営を用いた支援活動の具体的なイメージを持つことができました。

最後のグループディスカッションでは、前半の講義を活かしながら闊達な議論が行われました。実際の企業支援さながら前向きな改善提案も多くあり、知的資産報告書の概要も併せて深く学ぶ機会となりました。

4.感想

今回の3つのトピックについて関係性と重要性を強く感じました。

  • 課題図書「ロジカル・シンキング」では、根拠を明確に相手に論理的に伝える基本的な手法について学びました。
  • BMC(ビジネスモデルキャンバス)では、ツールを活用するうえで、正しい状況認識と因果関係の把握が重要であること、ビジョンと外部環境が苦手なことを教わりました。
  • 知的資産経営では、理念・ビジョンをもとに外部環境(業界の特徴や市場環境)を考慮し、現在/将来の価値ストーリー、経営デザインシートを作成していく手法であることを学びました。

まさに、ロジカル・シンキングを基礎とし、BMC、知的生産経営のフレームワークを状況に応じて駆使し、的確にクライアントのビジネスモデルを分析・提言する総合力を我々診断士が求められていることを実感しました。今後ともこの城東スキルアップコースを通して受講生同士で切磋琢磨し、プロコンとしての意識、技術、そして、学びを深めていきたいと強く感じました。

 

5次回(第3回)の予定

日時:2023年8月5日(土)9:1516:45

会場:中央区立人形町区民館(中央区人形町2丁目14番5号)

講義内容:

  • 図書館セミナー 企画とコンテンツ(講師:渡辺英史会員、飯沼正博会員)
  • 伝わる話し方(講師:一色映里氏 ストラーダ合同会社 代表社員)

 

(佐久間雄介会員、黒川敏幸会員、三野翔平会員)

 

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