学びの場
[2025/09/08]2025年度 城東スキルアップコース5月開講コース(第4回)開催報告
2025年8月17日(日)、城東スキルアップ5月開講コースの第4回が、中央区の明石町区民館で開催されました。全受講生29名のうち、都合により欠席された2名を除き、27名が参加しました。
第4回目のプログラムは以下のとおりです。
- 課題図書「マネジメント 基本と原則(著:P.F.ドラッカー)」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
- 社会貢献事業(講師:宮田昌尚会員)
- 人事戦略(講師:木村和広会員)
- 外国人人材活用(講師:船橋竜祐会員)
1.課題図書「マネジメント 基本と原則(著:P.F.ドラッカー)」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
スキルアップコースでは、課題図書を題材に、概要をまとめた資料作成とエッセンスの発表を行うプログラムが全4回にわたり行われます。今回はその第2回目となりました。
受講者は2チームに分かれ、各自3分間で発表を行った後、チームごとにディスカッションに取り組み、課題図書を通じて得た気づきや他者の発表に対する意見を活発に交わしました。さらに、事後課題として各受講者の発表と資料に対するフィードバックをまとめ共有することで、学びを深めました。
今回が2回目の課題図書への取り組みとなり、受講者の資料作成や発表には、前回の改善点や、過去講義で学んだ「話し方&聴き方」のテクニックが随所に活かされていました。特に、話すスピードや抑揚、”間”の取り方を意識した発表が多く、前回に比べ格段に聞きやすくなった印象を受けました。学んだ知識を実践的なスキルへと昇華させようとする、受講者の前向きな姿勢に刺激を受け、私自身もより一層努力しようという気持ちになりました。
ディスカッションでは、「マネジャーに必要な資質としての“真摯さ”」を中心に意見を交換しました。即席で指名されたファシリテーターを中心に、全員が積極的に発言し、活気のある時間となりました。
2.社会貢献事業(講師:宮田昌尚会員)
続いて午前の後半は、宮田昌尚講師より、社会貢献事業に関する講義が行われました。
講義では、城東支部における社会貢献事業の沿革や社会貢献事業推進部の活動内容、東京協会としての取り組みについてご説明いただきました。特に、城東地域には河川が多く、水害リスクが高いという地域特性が、支部の社会貢献活動を活発化させる要因となったことを教えていただき、地域に根差した支援の重要性を改めて認識しました。
講義終盤では、数名ずつで「どのようなテーマに取り組みたいか」「中小企業診断士が社会貢献活動を行う意義をどう考えるか」などについて意見交換を行い、数名の受講者がその内容を発表しました。中でも「中小企業診断士が一企業にとどまらず、複数の企業の社会貢献活動を中立な立場で支援することで、活動の効果を最大化できる」という意見は、今後の中小企業診断士活動において意識すべき重要な視点だと感じました。
講義の締めくくりには、宮田昌尚講師から「社会貢献活動は企業にとって利益に直結しにくいため難しい領域だが、一方で社会的ニーズは高く中小企業診断士の力の見せ処だ」というお言葉をいただきました。この言葉に深く共感し、企業の利益やビジネス支援にとどまらず、社会課題の解決にも貢献できる中小企業診断士になれるよう、今後も知識と経験を積み重ねていきたいと強く思いました。
3.人事戦略(講師:木村和広会員)
午後の前半は、木村和広講師より「経営者に人事課題のインタビューができる様になる」「人事戦略を助言する際に論理的な体系を理解する」を目的とした講義が行われました。
まず人事戦略を「経営戦略を達成するための人事戦略」と定義し、中小企業診断士と社会保険労務士の領域の棲み分けについて学びました。経営戦略を達成するための人事戦略には、経営全体を俯瞰して提案できる中小企業診断士が必要とされることが理解できました。
次に「経営資源の「人」の力量は人数×能力×意欲」、「人の最大化が企業の競争優位に影響する」を着眼点として学び、実際の診断では、財務観点で業界平均と比較し人事課題を検証する視点が有効であると学びました。
最後に賃上げや最低賃金の改定などの環境変化について学びました。評価制度も充分でない中小企業に対する人事施策について受講生から質問があり、木村和広講師の「大事な人は誰かを明確にする」「全員に対し平等にするかは、会社によって色があっても良い」との考え方は、評価制度は一律・平等との固定観念を持っていた私にとっては考えさせられるものでした。
グループワークでは事例企業に対し、人・組織に関するどの課題から着手すべきか、社員大会でどんなメッセージを伝えるか、についてディスカッションを行いました。対象企業の悪い所に目が行きがちな中、本当にそれが組織人事上の課題か、という視点を持つことが重要と学びました。
4.外国人人材活用(講師:船橋竜祐会員)

午後の後半では、船橋竜祐講師より「在日ベトナム人の動向から移民政策の未来を考える」のテーマで講義がされました。労働人材の現状や外国人政策の実情を正しく捉えることを目的とした内容でした。
「外国人人材の定着のために取り組むべきこと」を経産省のデータを基に学び、取り組むべきことの大企業と中小企業の違いについて、受講生から質問があり深く考える機会となりました。
次に、海外人材の活用のヒントとリスクの説明があり、政策や技能実習制度の課題、ベトナムを例にした人材の特性を学びました。母国での労働観を理解すること、賃金相場を踏まえた雇用環境を整えることが重要と感じました。受入れに不安を抱く経営者に対しては、法令や制度に基づいた助言を行うことが中小企業診断士に求められると感じました。
豊富な統計資料に基づく講義を通じ、我が国における外国人労働者の重要性と、優秀な海外人材確保のためにすべきことが理解できました。
5.感想
第4回目の講義は、組織における人、そして社会との繋がりのあり方を深く考える機会となりました。
成果を上げるためには経営資源としてのヒトの力が不可欠であり、そこにはモノやカネとは違う人間ならではの考慮点が多くあることを、私たち中小企業診断士は深く理解しておくべきであることを認識しました。
また各種の社会課題を良い方向に進めていくには、間違いなく中小企業の巻き込みが必要となり、そこを推進するのは私たち中小企業診断士の役目であることを感じました。
目の前の1社ごとの中小企業に真摯に向き合うのは勿論のこと、その先にある社会全体に対して何が出来るかということまでを考え、行動していける中小企業診断士になっていきたいと考えさせられるプログラムとなりました。
6.次回(第5回)の予定
日時:2025年9月21日(日)9:15~16:45
会場:中央区新川区民館(7号洋室)
(東京都中央区新川1-26-1)
講義内容:
- 事業継続計画(BCP)(講師:長島孝善会員)
- 資金繰りと管理会計、収支計画の作成(講師:本田一也会員)
(鈴木晃仁会員、髙橋由希奈会員、吉田寛会員)



