城東支部

委員会・プロジェクト

[2022/6/6] 神石高原町版 経営デザインシート 作成支援活動報告

66日(月)~7日(火)、広島県神石高原町の若手・中堅職員を対象とした「経営デザインシート」作成研修に、講師の立場で現地訪問して参りました。今回の研修講師を務めさせていただくこととなったきっかけは、2019年の10月にさかのぼります。

当時、2019年度城東スキルアップコース内の実務従事案件として、受講者有志のメンバーで、東京で居酒屋を経営しながら三重県で漁業に進出した株式会社ゲイト様の支援を行いました。支援の形としては、ゲイト社のビジネスモデルをベースに「地方創生★政策アイデアコンテスト2019」に応募することとしました。コンテスト応募のための打合せをゲイト社の店舗で行った際、同社の五月女社長から神石高原町の入江町長を紹介いただいたのが、最初のきっかけです。五月女社長と入江町長は、それ以前の何かの会合でご一緒される機会があり、お会いした当日は、町の特産品の一つである「イノシシ肉」をゲイト社の居酒屋メニューに加えられないかと、試食品を持参して上京されていました。当時参加していた診断士メンバーは、その場で入江町長と意気投合し、「診断士の立場で何かお手伝いできないか」、「まずは現地視察を行った上で具体的な支援の形を検討しましょう」という話になりました。当初は20203月に訪問を予定していたものの、新型コロナの影響で延期となり、その後も訪問のタイミングを見いだせない状況が続いていましたが、逆に距離の制約を乗り越えたオンラインミーティングが当たり前のようにできる環境になったこともあり、まずはオンラインで定期的に情報交換会を行うこととしました。これが、20211月のことです。

それ以来、概ね月1回のペースでZOOMによるオンラインミーティングを重ねてきましたが、その中で診断士側からは、「少子高齢化や人口減少が進む地方自治体が長期的に維持・発展していくためには、企業経営の視点で将来ビジョンを構想して長期戦略を立てていくことが必要ではないか」という課題提起を行い、町の幹部の皆様より賛同いただきました。町の窓口になっていただいた政策企画課様とは、具体的な支援のプログラム内容、町側の参加者像や位置づけ、診断士としてどのように関与すべきかなど、よりよい支援の形となるように様々な建設的な議論を行いました。そして、「将来の神石高原町を支えていく町の若手有志職員を主体に、町の将来ビジョンを構想しながら経営視点のフレームワークや考え方を学び、その成果物として経営デザインシートを作成していこう」、「考え方や作成ノウハウについては、診断士が研修講師の形でサポートしていこう」という形になりました。

研修は、第1回の6月から来年の2月まで毎月1回の全9回とし、6月・8月・11月は正味1.5日間の訪問研修、他の月は3時間のオンライン研修で構成することとしました。研修参加者は、町の若手・中堅職員を対象に、指名制ではなく完全公募制で募集しました。これは、「参加者は自発的に手を挙げた若手中心の有志のメンバーで構成し、より実効性の高い経営デザインシートを作成していきたい」との町側の想いによるものです。通常業務を抱えながらの長期にわたる研修のため、実際に何人の職員の方から手が挙がるか不安でしたが、なんと10名もの職員の方に手を挙げていただきました。メンバー構成も、新卒での入庁、社会人経験を積んでからの入庁、町の出身者、町外出身者など、さまざまなバックボーンを持った多様性のあるメンバーとなりました。一方診断士側は、大石前支部長を代表に、最初に入江町長とお会いしたメンバーに加え、地方創生に関心のある会員、知的資産経営に知見のある会員有志が加わり、全8名で構成しました。

1回目の研修に参加した診断士は6名ですが、まずは前日に現地入りし、半日かけて町の主要施設を巡り、町の雰囲気を掴んだ上で、翌日の研修に臨みました。6日の研修初日は、冒頭、入江町長から研修参加者宛にメッセージをいただき、政策企画課の池田課長からの本研修主旨説明に続き、町の研修参加者と診断士双方で自己紹介を行いました。その後、具体的な研修に入っていきました。

1回目の研修は、大きく分けて3つのテーマで行いました。まずは佐竹聡会員より、「経営デザインシートの概要」説明があった後、経営デザインシート簡易版を使って、「将来構想のキャッチフレーズ」「これまでこの町はどうだったのか?」「30年~50年後にはこの町をこのようにしていきたい」「その実現に向けていまからどうするのか」について各自が考え、グループワークを行いました。
続いて鈴木康文会員より、講義形式で、データを使った外部環境の説明や、経営の原理原則をいくつか紹介しながら理念・ビジョンを考えることの大切さを説明し、この後の「SWOT分析や町のビジョンを考える」きっかけとしました。
最後は元城東支部会員で現広島県協会会員の吉原伸二さんの音頭で、SWOT分析を個人ワークで行った後、グループワーク方式でSWOT分析内容の整理と、その内容を参考とした30年~50年後のビジョンを描いてみました。3つのグループに分け、それぞれのテーブルに診断士がファシリテーター役として付き、時間を意識しつつ活発な議論が行えるよう、サポートを行いました。ワークの最後に各チ-ムからビジョンを発表し、最後に入江町長から講評をいただきました。

参加職員の皆様は、最初は緊張の面持ちで参加されていましたが、次第に緊張がほぐれ、途中から活発かつ建設的な意見交換や情報交換が行われました。参加メンバーの皆様は、「自分たちの手で町の将来を考え、よりよい町を築いていきたい」との強い思いでこの研修に参加されており、第1回目から熱い議論が交わされました。講師側の我々としても、参加された職員の皆様の熱い思いをしっかりと受け止め、7月以降の講義に全力で臨み、よりよい「神石高原町版経営デザインシート」を作成していただけるよう、サポートして参る所存です。

(鈴木康文会員)

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