城東支部

委員会・プロジェクト

[2023/02/01]最終報告会実施 神石高原町版経営デザインシート作成研修

 2日(水)、広島県神石高原町の若手・中堅職員を対象とした「経営デザインシート」作成研修の成果発表会が、町長以下幹部の集まる会議の場で、報告会形式にて開催されました。当日の発表主体は研修に参加された町の職員で、我々中小企業診断士はオンラインで受講生の発表を見守りました。
 本研修は、神石高原町の入江町長・森重副町長、研修事務局の政策企画課課長・課長補佐と我々中小企業診断士が、議論を重ねながら企画した官民連携の取組です。「将来の神石高原町を支えていく町の若手・中堅職員が、町の将来ビジョンを構想しながら経営視点のフレームワークや考え方を学び、その成果物として経営デザインシートを作成する」、「考え方や作成ノウハウは、診断士が研修講師の形でサポートする」という理念のもと、具体的な研修内容を構築してきました。
 受講者は自発的に手を挙げた全10名。講師陣は、地方創生に関心を持ち、経営デザインシートや知的資産経営に知見のある城東支部会員有志7名と広島県協会所属の元城東支部会員名の計名の構成です。昨年月から月までのヶ月間、月回のペースで現地訪問やオンライン形式で研修を重ね、「神石高原町版経営デザインシート」が完成しました。11月の研修で経営デザインシートが一通り出来上がりましたが、12月には「経営デザインシート全体のおさらいと修正」「知的資産経営の総括」、月には「報告会に向けての準備」を、講義とワークショップ形式で行いました。また、毎月の講義に加え、受講生が自発的に報告会に向けた発表準備を重ね、2月1日の発表会当日を迎えました。
 発表会本番における受講生のプレゼンテーションは堂々たる内容で、聞いていた町の幹部の中には感動の涙を流す方もいらっしゃり、また、他の幹部の皆様からも、「業務多忙の中、長期にわたり一つのことに取り組んできたことに対し敬意を表する」、「真剣に町の将来を考えてきたことが伝わる発表だった」、「経営デザインシートで言語化した内容を、将来の具体的な計画につなげていく後押しとしたい」といった好意的なコメントを頂くことが出来ました。町長・副町長からは、「今回の研修参加者には、将来の町を担う人材に育って欲しい」、「来年度は、今回作成した経営デザインシートをベースに、次期長期総合計画策定の礎となるようなものに、ブラッシュアップしていきたい」といった総評をいただきました。


 翌週日には、受講生と我々講師陣との間で、オンラインによる振り返り会を開催しました。受講生からは、「通常業務がある中での長期研修で大変だったけど、充実した時間を過ごすことができた」、「バックキャストの考え方について理解が進むにつれ、自分の業務周りだけにとらわれず、町全体の将来を考えるようになった」、「自分たちがこの研修に参加し、取り組んでいる様子を見て、周りの職員に良い影響が出ているように感じる」といった感想を聞くことが出来ました。
    

 神石高原町としては、「自発的に手を挙げた希望者」のみを参加対象とする長期に亘る研修は、前例のない初めてのケースだったそうです。一方、普段都内で中小企業の経営支援を行っている我々中小企業診断士としても、距離の離れた地方自治体の支援を行うのは初めてのチャレンジでした。自治体版「経営デザインシート」の前例がほとんどない中、「町の発展に微力ながら寄与したい」、「自発的に手を挙げて参加してくれた受講生の学びにつながるものを提供したい」といった思いで、手探り状態ながら研修コンテンツを構築しました。このような、中小企業診断士側から見た「自治体版経営デザインシート作成」支援活動について、216日に、日本知財学会経営デザイン分科会の場で成果発表する機会をいただきました。「地方自治体による経営デザインシート作成」、「都内の中小企業診断士によるが地方自治体支援」といった新たな取り組みについて、参加者に理解を深めていただくことにつながりました。



(一般社団法人日本知財学会HP 経営デザイン分科会↓)
https://www.ipaj.org/bunkakai/keiei_design/event/kenkyukai_20230216.html

 来年度についても、今年度取り組んできたことをベースに、更にブラッシュアップした形で町の支援を継続する予定で、現在、神石高原町政策企画課と具体的な内容について協議を進めているところです。「経営デザインシート」や「知的資産経営」のノウハウを活用した地方自治体支援のノウハウ蓄積に向け、引き続き注力して参る所存です。

(鈴木康文会員)

pagetop

Translate »