支部会員の皆さまへ
[2023/04/22]ビジネスワイドショー企画 Part2
「ベトナムの“今”を知り、“これから”を考える!」開催報告
4月22日(土)に、ベトナムとオンラインで結び「ベトナムの“今”を知り、“これから”を考える!」をテーマにして、株式会社サクラエコロジー 坂本社長を現地プレゼンター、城東支部 増田憲二会員の進行でベトナムビジネスや人材活用の知られざる実態がトークショー形式で行われました。今年は日越外交関係樹立50周年で、人口約1億人・平均年齢約31歳のベトナムは今後の更なる経済成長が期待され、市場、および人材供給国として注目が集まっています。
第1部:ある日系中小企業の軌跡:㈱サクラエコロジー社が3本柱に挑む本当の理由
~強みが無くても多角化はできる!?新ビジネス立ち上げの秘訣とは?~
ホーチミン市に拠点を置くサクラエコロジー社は、ビルメンテナンス事業を中心に映像事業、金型事業といった3事業を展開していますが、VTRにて事業やオフィスを紹介や、立ち上げ時のエピソードが語られました。坂本社長就任の2018年当初は過去の資料が無かったり、古株社員が勝手に給料を変えてしまうなど、会社はボロボロの状態だったといいます。
本業のビルメンテナンス事業からは自らの給料も十分に出せないような状況下で、坂本社長は本業を立て直しながら「自分たちの給料は自分たちで作る」ため、元フジテレビ・プロデューサーの経験を活かして映像編集事業を立ち上げました。
会社は「お金が無くなったら終わり」という考えのもと、金型事業は、チャイナリスクを背景にベトナムに調達先を確保したいというメーカーの要望を受け、坂本社長ご自身が50もの委託先工場を巡って生産業者を確保し、立ち上げた事業です。狙って事業化したものではなく、20もの事業にトライして残ったものが金型事業でした。
増田会員からの「金型事業は坂本社長に強みがあった訳ではないですよね?」との問いに対し、「ベトナムでの事業はベトナム人が主役。シンプルな仕組みを作って日本人が管理するビジネススキームは、ビルメンテナンスも金型も同じ。」と返す坂本社長。新規事業開発の秘訣が見えた一場面でした。
第2部:循環型ブリッジ人材育成のススメ:人材が結ぶ新たな日越パートナーシップ
~ベトナム人の日本離れ!?日本語を勉強するベトナム人は減っている!~
第2部では人材について取り上げました。4月10日の政府有識者会議にて、「技能実習制度を廃止し新制度の創設を検討すべき」とする中間報告のたたき台が示されましたが、これを受けて坂本社長は現地の人材送り出し機関「エスハイ」のレ・ロン・ソン社長への緊急のインタビューを行いました。VTRにて、レ・ロン・ソン社長は、「“いい外国人材”が日本に行き、日本で成長した人材が将来日本とビジネスを興したり、子供を日本に送りだそうとするような、長期的な人材循環の仕組みを作ることが重要」と述べられ、日越が目指すべき真のパートナーシップの在り方を示唆されました。
外国人材紹介会社を経営する増田会員から、日本企業はまだ「受け入れてあげる」という意識が強く、外国人人材教育の投資に後ろ向きな企業が多いとの指摘がありました。ベトナムでは、日本語を勉強してもお金にならないという認識が強まり、日本語を勉強する人は減ってきている一方、中国語や韓国語を習得している人材が増えてきたとのことでした。労働力の大幅な減少が見込まれる日本が海外に解決策を求めることが難しくなることが予想され、深刻な問題が浮き彫りになったセッションとなりました。
視聴者参加型ディスカッション:
~ベトナム人はとても勤勉だが、コミュニケーションがニガテ!~
トークセッション終了後、ディスカッションタイムが設けられました。とある視聴者様からは「専門学校で外国人材への教育を行うことになった。卒業後に日本企業で働く予定の外国人材が専門学校で学んでおくべきこととは?」という問いかけがありました。ベトナム人は非常に勤勉で、特に日本に来るような人材は自分のキャリアアップに対する向上心が日本の若者の何倍も強いとの意見がありました。一方で、ベトナムは上意下達の文化が強く、コミュニケーションやチームワークは母国でもほぼ経験することが無いため、苦手としており、その対策として、一緒に学ぶ他国の人材とのコミュニケーションの場を意識的に作るべきとのアドバイスがありました。
今回はベトナム現地で日々奮闘される坂本社長からの生の声や最新情報が多数盛り込まれているとともに、プロの手によるVTRや実体験豊富な両名によるテンポの良いトークは視聴者を飽きさせることがなく、あっと言う間の2時間でした。都合の良い話ばかりでなくネガティブな点が率直に語られたことで、非常に“リアル”を感じることができたと考えます。
(松森 健一 会員)