城東支部

学びの場

[2021/9/4]2021年度 城東スキルアップコース(第4回)開催報告

熱戦が続く東京パラリンピックもあと2日を残すのみとなった9月4日(土)、城東スキルアップコースが開催され、23名の受講生が参加しました。開講以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により完全オンラインによる開催が続いていますが、今回も中身の濃い講義が行われました。

 今回の講義内容は次のとおりです。
1.課題図書発表「コトラーの戦略的マーケティング」(フィリップ・コトラー著)
2.診断士のマーケティング戦略(講師:吉岡雅樹会員)
3.診断事例 事業承継と事業再生(講師:大石正明支部長)
4.M&A(講師:近藤尚樹会員)

1.課題図書発表「コトラーの戦略的マーケティング」(フィリップ・コトラー著)
課題図書の発表は今回で2回目となりますが、「経営理論」としては初回でした。
マーケティングを学習した人なら、一度は触れるおなじみの「4P」「4C」「STP」等の理論を、各受講生が様々な観点からまとめ上げ、中には個性あふれる発表もありました。
初回に比べると、資料の作り方や色使い、発表の時間配分等、各受講生の工夫がうかがえる内容でした。

講師の鈴木会員からは、オンラインではなく聞き手が目の前にいるリアルな場面であれば、聞き手の様子を伺いながら発表の内容を変える柔軟性が必要になるというコメントをいただきました。また、コトラーのマーケティング論は時代背景によりアップデートされ、現在では「マーケティング4.0」に関する書籍が出版済みとのことでした。
今回の課題図書における理論から、「マーケティング4.0」ではどの部分がアップデートされたのかなど、常に最新の理論の把握が重要であることを感じました。

 2.診断士のマーケティング戦略(講師:吉岡雅樹会員)
吉岡雅樹会員より、「診断士のマーケティング戦略」のテーマで、中小企業診断士として独立したての頃のご苦労から何を学び、どのように改善されたかなど、失敗談を交えてお話しいただきました。
童話「マッチ売りの少女」という身近なストーリーを題材にしたお話は印象深く、独立したての中小企業診断士が迷い込む営業販売上の課題や、自らのマーケティング活動の大切さを理解しました。
中小企業診断士として、「売りたいサービスを明確にし、仕組化して、異業種交流会での人脈を活用して営業する」という自身のマーケティング戦略と自己PR手法に積極的に取り組もうと決意を新たにしました。 

3.診断事例 事業再生と事業承継(講師:大石正明支部長)
大石正明支部長からは、事業再生と事業承継について、個人ワークやグループワークを交えながら、ご講義いただきました。
事業再生のプロセスについて解説いただいた後に、ある企業の財務諸表をもとに「このような財務諸表を持参した経営者に対してどのようにコメントし、どのように再生の道筋を立てていくか?」など実践的な診断内容を考える個人ワークを行いました。実践の場においては、財務諸表を見て問題点のあたりをつけて、短期と中長期の両面で収益構造の改善を図る視点の必要性を感じました。

事業承継については、日本のほとんどの中小・零細企業が抱えている問題の1つであるとし、事業承継のプロセスや必要知識などについてご教授いただきました。また、ある企業の財務諸表をもとに、その企業の事業承継の課題や対応策を検討するグループワークも行いました。各グループの代表者が討議内容を発表し、大石支部長より講評をいただきました。
中小企業の事業承継においては家計と経営の切り分けや、先代が経営におよぼす影響力にどのように対処するかが大きな課題であることを学びました。

事業再生と事業承継は、いずれも中小企業診断士の必須の分野ではあるものの、私たちが持っている知識はまだまだ浅く、個人ワークとグループワークのいずれも、なかなか適切な内容を想起することが難しく感じました。
大石支部長からは、「事業再生と事業承継はともに、やり方や必要となる知識を多少なりとも持っていると、中小企業支援に携わる際に幅と奥行きを出せる」とのコメントとともに、その知識を得るための資格についても情報をいただきました。今後さらに学習していく必要性が高いと認識した受講生も多かったことと思います。

M&A (講師:近藤尚樹会員)
近藤尚樹会員よりM&Aについてご講義をいただきました。中小企業にとって身近なものになりつつあるM&Aに関して、官民一体で事業承継問題の解決に向けて支援が行われていることを学びました。講義では、M&Aの基礎知識から中小企業の特徴を踏まえたスキームまで、近藤会員のご経験を踏まえて解説いただきました。
中小企業診断士として、M&Aの最低限のルールや知識、ノウハウを身につけ、弁護士・税理士・会計士等の士業や専門家とスムーズに連携することの大切さを認識しました。診断士にとっては、M&Aの支援はハードルが高い領域ですが、近年、M&A成立後の統合作業(PMI)の重要性も高まっていることを踏まえ、やりがいあるテーマと実感しました。

5.感想
今回は、診断士として活動していくうえで非常に重要な考え方と知識についてお話を伺うことができました。企業に対して「マーケティング」理論に基づき支援をしていく診断士自身が、「自己のマーケティング戦略を持つ」必要性を強く感じました。また、事業承継や事業再生、M&Aでは、法務や税務のプロとの連携が必須であり、人脈作りの大切さを改めて感じました。
これからも、城東スキルアップ受講生や事務局の皆様、講師の皆様方から数多くの気づきを得て、今後の成長につなげていきたいと思います。

 6.次回(第5回)の予定
日時:202110月2日(土)9:1517:00
会場:オンライン
講義内容:
①課題図書発表「マネジメント 基本と原則」
②事業継続計画(BCP) 講師:長島孝善会員
③資金繰りと管理会計  講師:本田一也会員

(磯田幸宏会員、梶山祐美子会員)

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