城東支部

学びの場

[2021/12/4]2021年度 城東スキルアップコース(第7回)開催報告

季節が進み、今年も残すところひと月となった12月4日(土)、城東スキルアップコースが明石町区民館で開催され、受講生21名が参加しました。前回に引き続き2回目の会場開催となりました。

今回の講義内容は次のとおりです。
1.課題図書発表「ストーリーとしての競争戦略」
2.課題図書グループワーク(講師:鈴木康文会員)
3.創業支援(講師:鈴木美穂子会員)

1.課題図書発表「ストーリーとしての競争戦略」(楠木建著)

課題図書の発表は今回で4回目となり、テーマは「競争戦略」でした。内容は、すぐれた競争戦略は人に話したくなるような面白い物語(ストーリー)になっている、というものです。なぜ競争戦略が必要なのか、どのような考え方で戦略構築を進めていけばよいのか、事例を交えながら詳しく紹介されています。
事前の資料作成では、書籍の内容を理解するだけでなく、どの部分をポイントとしてまとめるのかという優先順位の判断や構成力が問われます。さらに発表では、何をどのように語るかというプレゼンテーション力も求められます。
提出された資料は、図表を使うなど受講生それぞれに工夫されていて、資料を見た人に何を訴求するかを各自が練っていることがうかがえました。
リアル開催で聞き手を目の前にした発表は今回が初めて。緊張感を表情に表しつつも、前回の講義「伝わる話し方」で学んだことも活かしながら、3分間のプレゼンテーションに取り組みました。

課題図書は全部で5回実施されますが、中小企業診断士として理解しておくべき良書が選ばれています。城東スキルアップではさまざまなことを学びますが、課題図書に挑戦するだけでも城東スキルアップに参加することのメリットがあると改めて感じました。


2.課題図書グループワーク(講師:鈴木康文会員)

グループワークでは、事前にポーター賞受賞企業の事業レポートを読み、課題図書の理論を当てはめて競争戦略を検討しました。特に、対象事業の「コンセプト」は何か、「クリティカル・コア」は何か、打ち手の「因果論理」がどのように結びついているのかを中心に、各グループで討議し、発表を行いました。質疑応答では、受講生からの厳しい質問に発表グループがたじたじとなる場面もありました。書籍をしっかりと読み込んでいるからこそのやりとりで、受講生同士、鋭く突っ込み合いつつも笑顔を交えながらディスカッションを行いました。
講師の鈴木康文会員からは、課題図書に記されていた競争戦略の要素、および対象企業の要素を結びつけて解説いただき、理論の理解が進むように配慮していただきました。


3.創業支援(講師:鈴木美穂子会員)

午後は、講師の鈴木美穂子会員より「創業支援のいろは 『ゼロからイチをつくる』支援とは?」と題してご講義いただきました。冒頭、本講義のゴールは「城東スキルアップコース卒業後、創業支援に初めて携わる時にアタフタしないようにする」「支援業務の入り口をスムーズにしてスキルアップにつなげる」と示され、実務に直結する内容への期待とともに講義が始まりました。
まず、創業支援は経営診断と異なり、支援対象者はまだ事業を行っておらず、ほとんどの場合はアイデアだけを持ってくること、立ち上げと継続的な支援が必要になることを学びました。女性や若者、シニアタイプの創業相談が増えており、それぞれの特徴を理解することも必要です。また、支援の注意点として、創業準備のステージに合わせた支援を行わなければならないとの指摘がありました。他にも、創業計画書に対するチェックポイントや市町村が行う特定創業支援の仕組みなど、実例に基づいた具体的な説明をいただき、非常に参考になりました。
創業支援は、何が飛び出してくるかわからない「びっくり箱」のようで、初めは怖いが支援対象者と一緒に考え、楽しむ気持ちで取り組みを、という話がとても印象に残りました。



大半の受講生が未経験である創業支援は、受講前には、未知のもの、難しいものとの印象がありましたが、講義では、講師ご自身の経験に基づいた支援の進め方や取り組む姿勢を教えていただきました。受講生は、日頃からより広く社会の動きを観察し、感性を磨いておく必要があることを理解しました。さらに1つ1つの助言が支援対象者の人生を変えるかもしれないということを重く受け止め、責任感を持って取り組んでいくべきだと強く感じました。

最後に「課題を明確にして、ビジネスモデルをつくる」と題したグループワークに取り組みました。このままでは創業が難しい3つの相談ケースについて、創業に向けた課題を挙げて、戦略とビジネスモデルを立案することを目指しました。4〜5名のグループで提案をまとめ、模造紙を用いて3分間の発表を行いました。
課題図書で学んだ戦略ストーリーを活用した発表や、模造紙を4つ折りにし紙芝居スタイルで見せていく発表も見られました。事務局グループも参加し、発表は大いに盛り上がり、立ち上がって熱心に聞く受講生の姿も見られました。鈴木美穂子会員からは、課題の抽出をしっかり行った上で、戦略立案は支援対象者に合わせておこなうことが必要と講評を受けました。初めて模造紙を用いた作業を行い、一層、相互研鑽の楽しさ、大切さを感じたグループワークでした。



4.感想

会場に集合して行う講義は2回目でしたが、あらためて実際に対面してコミュニケーションをとることの良さを感じました。課題発表でも受講生全員の前に立って行うことによって、発表内容だけでなく、その表情・身ぶり・声のトーンなどさまざまなことを感じ取りやすくなります。その場で発表を聞いている受講生、事務局全員の醸し出す雰囲気が一体となって「学びの場」が盛り上がっていくのを感じました。目の前で行われる他の受講生の発言や発表を聞いていると、自分ももっと頑張らねばと刺激を受けました。
来る年がより良い年になることを祈り、新たな研鑽を積んでいきたいと思います。

5.次回(第8回)の予定

日時:2022年1月8日(土)9:15~17:00
会場:きらきら会館 京島第二集会所(東京都墨田区京島3-52-8)
講義内容:
①商店街支援 講師:大和 和道氏(キラキラ橘商店街事務局長)
②商店街見学・散策
③戦略と計画 講師:村上 一幸会員

(水口克彦会員、鈴木志恵夫会員)

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