学びの場
[2022/03/13]葛飾区立石図書館ビジネスセミナー
「日常生活にも使える、在庫管理の基本の『き』」開催報告
うららかな春の日差しあふれる3月13日(日)、葛飾区立立石図書館ビジネスセミナーが14時~16時にて開催されました。タイトルは「日常生活にも使える、在庫管理の基本の『き』」です。中川 雅雄会員が講師を務めました。
新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大を受けて、蔓延(まんえん)防止等重点措置が適用されている中の開催でした。会場は席数を30名に限定し、会場入り口では検温と手指の消毒を徹底、講義中は窓を開けての換気を行うなど、来場者の方にもご協力を頂きながらの開催でした。当日はコロナ禍にもかかわらず男性・女性を含めて21名が来場、20代から70代まで幅広い層の方が受講されました。
中川会員はこれまで玩具卸業に携わる中で、在庫の持つ意味や在庫管理の方法について学び、またそれを仕事以外の日常生活にも活用してきたそうです。実践的な在庫管理の手法を、家庭での具体事例なども盛り込みながら紹介しました。
セミナーの冒頭は、「日常生活に潜む在庫の問題」についてでした。家庭の冷蔵庫を見ると、長い間使っていない食材がある一方で、いざとなると食材が足りないということがあります。これを、ビジネスに置きかえて考えるところから始まりました。
だれでも経験があるような、身近な話から入ったこともあり、受講生の方もよりリアルに問題を捉えることができたようでした。大きくうなずきながら話を聞いている方も多くいらっしゃいました。
続いて、セミナーのタイトルである基本の「き」、在庫とはなにかという話に入って行きました。中川会員は入社したての新人時代に、「在庫は罪の子=罪(ざい)子」と言われ、何故、「罪の子」なのかと疑問に感じたそうです。在庫に潜む問題について、1990年代後半にブームとなった「たまごっち」の事例を交えながら、話を深めていきました。
中川会員は途中しっかりと間をとり、1つ1つの言葉が受講生の方に浸透していくのを確認しながら、話を進めていきました。受講生の方もスクリーンに集中し、1つ1つの言葉の意味を理解しながら、在庫の基礎を学んでいきました。
続いて、在庫の具体的な管理手法である5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)について説明があったあとは、チェックシートを使ったワークを行いました。冷蔵庫やクローゼットなどの自分自身の身の回りを振り返り、「5S」が出来ているかどうかをチェックシートで確認しました。ワークの結果を受講者の方に伺ったところ、多くの方が在庫に改善余地があることが解りました。自宅の冷蔵庫やクローゼットにはどうしても不要なものが溜まりがちです、ワークを通じて改めて認識することができました。会社においても、まずは現状を確認することが改善につながるとの話がありました。
前半は「在庫管理のメリット」や、「在庫がその役割を最大限に発揮させるための活動」についての説明でした。
途中、10分間の休憩時間には受講者が中川会員にさっそく質問をするなど、受講生の関心の高さをうかがい知ることが出来ました。
講義の後半は、ちょうどいい在庫を持つための「発注管理と需要予測」でした。在庫管理では、需要に応じて入ってくる数量をコントロールすること、つまり発注管理が大切になります。いくつか発注方式についての説明の後、トイレットペーパーなど日用品を想定しての発注タイミングについて、ワークを行いました。ワークでは、平均的な消費量と、調達にかかる日数、持っておきたい在庫の量を考慮して、発注タイミングを計算しました。
最後は需要予測についての講義でした。ここで大切なことは需要を当てることよりも、予測を外した時の対処をどうするかです。予測は当たらないこともあるので、予め対応を決めて迅速に行動に移すことで結果として在庫の適正化が図れるようになります。
講義終了後に質問を受け付けると、直ぐに受講者の手が上がりました。昨今の半導体不足などから在庫への意識が高まっているようで、定量発注についてのご質問でした。もうひと方は梅酒など長期保存が出来る商品の在庫の考え方についてのご質問でした。業務に関することから家庭内の身近なものまで、在庫にかかる課題の奥深さを改めて感じました。
図書館ビジネスセミナーでは、会場の一角にテーマに関連する書籍を集めて、閲覧できるようにしています。本セミナーでも休憩時間に受講者の方が関連図書を閲覧されていました。
講義の詳しい内容は、東京都中小企業診断士協会城東支部のYouTubeチャンネルで視聴することができます。ご家庭でもお仕事でも今すぐ使える「在庫の基本」、ぜひこの機会にご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=fgImwAXPGcA
(井原順子 会員)