学びの場
[2023/03/04]2022年度 第10回城東スキルアップコース開催報告
東京マラソンを翌日に控えた2023年3月4日(土)、城東スキルアップコースの最終回となる第10回が、マラソンコースを眼下に望む浅草文化観光センターにて開催されました。
今年度は全てリアルでの開催となり、今回は24名の受講生が参加しました。
第10回のプログラムは次のとおりです。
- 製造業診断(講師:松井支部長)
- 成果発表会
- 修了式
1.製造業診断(講師:松井支部長)松井支部長より、「製造業診断の基本」と題する講義をいただきました。本講義を受講するにあたり事前に複数の課題が出されており、講義およびグループワークを通じて課題に対する答えを深掘りするという形式で進められました。
製造業で勤務したことのない受講生が過半数を占めていたため、冒頭、製造業のビジネスモデルからご説明いただきました。仕入れた原材料を加工して最終製品がつくられ、消費者に販売するというビジネスモデルは、製造業であれば業界を問わず共通です。しかし、部品を組み立てて製品を作るか、原材料を加工して製品を作るのか、受注生産か見込み生産か、BtoBかBtoCかなど、製造方法、受注形態や用途によって業務プロセスが異なります。例えば、加工食品や家電製品などカタログがある量産品は見込生産で製品在庫も保有しているものの、電力設備や航空機などの個別仕様品は受注生産のため在庫もありません。そのため、診断先の形態に応じたアドバイスをしないと的外れなものになってしまうと学ぶことができました。
次に、中小規模の製造業を診断する際に必要な基本知識をご教示いただきました。製造業の診断範囲は、営業、研究開発や設計、調達、製造、物流、アフターサービスなど、多岐に渡ります。改善が必要なポイントを探し当てるための着眼点は、品質・コスト・納期の3つです。3つのうち、ひとつの側面を改善すると他の2つにどのような影響を及ぼすか、受講生が4~5人ずつグループに分かれて議論した結果を模造紙にまとめることで、理解を深めました。
その他、現場視察やヒアリング時にチェックするポイント、製造業ならではの用語の解説、品質管理や生産管理の基礎知識、工程分析の仕方など、幅広くご説明いただきました。診断先の企業が使用している用語を使って会話をすること、いかに診断先の企業に負担をかけずに診断・改善するかなど、製造業を診断するうえでの留意点も教わりました。
昨今、最低賃金の上昇、資材の高騰、燃料費・電気代の高騰などに悩む中小製造業が多く、大企業と異なり中小製造業は製造原価の上昇分を価格転嫁することが難しいのが現状です。そのため、まずは自社内で管理可能な範囲内から改善を進めていくことが大事であるというお話が印象に残りました。
2.成果発表会
成果発表会では、受講生各位が、城東スキルアップコースを1年間受講した振り返りと今後のアクションプランについて、パワーポイントのスライド1枚にまとめた内容を、1人3分で発表しました。
中小企業診断士資格取得後、どのように生かせば良いのか分からなかった受講生が多かったようです。1年間、城東スキルアップコースを受講したことで、先輩診断士や同期生とのつながりや業務に必要な知見を得られたことで自信がもてた、という声が多数挙がっていました。カリキュラムの前半で学んだ話し方のコツや、課題図書の発表で培われたプレゼン能力が存分に発揮され、表情も明るく、良い刺激を得ることができました。
受講生の中には、独立を目指している方、すでに独立しており更なる飛躍を目指す方が多数いました。10ヵ月、ともに机を並べた仲間の活躍を心から祈るとともに、自分も負けないように鍛練しようと思えた、成果報告会でした。
3.修了式
松井支部長、入山能力開発推進部長、木内事務局長、事務局スタッフ各位から城東スキルアップコースの締めくくりに相応しいお話をいただきました。
企業内診断士として、土日平日夜間の診断士活動の積み重ねが、5年後10年後、同じ企業の社員との大きな差となってくること、その差が診断先企業との会話の中で診断や助言に厚みが出てくることなど、印象に残るメッセージを沢山いただきました。
そして、受講生の皆様とともに学んだスキルや知識を活かし、自分自身の未来を切り開いていきたいと思います。本当にありがとうございました。
4.感想
2022年6月から10ヵ月に渡る城東スキルアップコースは終了いたしますが、自己研鑽の旅路はこれからも続きます。今後、スキルアップメンバーと切磋琢磨しながら、一歩一歩努力を積み重ねていきたいと思います。
最後となりますが、中小企業診断士は、異業種交流となる新たな出会いや新しい知識や情報の取得を通じて、自らの能力を高め、その能力を最大限に発揮し、社会に貢献していきます。そして、その志そのものが、自らのキャリアを能動的に変えることができる「人生のパスポート」になると感じました。
(秋田謙作会員、高山幸一会員、黒澤優会員)