学びの場
[2025/09/06]2025年度 城東スキルアップコース 6月開講コース(第4回)開催報告
9月6日(土)、2025年度城東スキルアップコース(6月開講)第4回が佃区民館で開催され、受講生27名中25名が参加しました。
第4回目のプログラムは次のとおりです。
1.課題図書「マネジメント 基本と原則」(P.F.ドラッカー著)の受講生発表2.社会貢献事業
3.人事戦略
4.外国人人材活用
1.課題図書「マネジメント 基本と原則」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
本講義では、課題図書を題材に、事前に受講生が要約と論評をA3サイズの資料にまとめ、2チームに分かれて各自3分で発表をしました。その後、それぞれのチーム内でファシリテーターを決め、全員で作成資料と発表に関するディスカッションを行いました。 
今回は2回目の課題図書発表となったため、受講生は前回の経験を活かし、資料の構成や発表の進め方に工夫を凝らして取り組んでいました。各自の着眼点やアプローチの違いが、他の受講生の視点に触れることにより、より理解を深める場になりました。ディスカッションでは、資料と発表内容の関連付けや、本の内容を中小企業の支援にどう活かすかなど受講生間で議論を深めました。また、ファシリテーターから「唯一無二のマネジメントはない」という意見があり、状況や組織に応じた多様なマネジメントの必要性を感じました。
本講義を通じて、書籍の内容を整理するだけでなく、発表や議論の進め方についても実践的な学びが得られ、次回の課題図書に向けた取り組みを具体的に考える機会にもなりました。
2.社会貢献事業(講師:宮田昌尚会員)
宮田昌尚講師は、ドラッカーの講義を踏まえ、社会貢献事業について「企業活動は利益の追求にとどまらず、地域社会や環境に対する責任を果たすことが大切」と述べられました。
城東支部では、地元中小企業の経営力強化を支援する目的のもと、以前から社会貢献事業に取り組んできました。過去の取り組み事例を聞くことで、具体的な活動内容や成果が理解でき、非常に興味深く感じました。特に、リソースが限られた企業でも取り組める範囲や、自社の強みを活かした社会貢献の方法を考える視点が示され、企業の存在意義についても改めて考えるきっかけとなりました。
講義の中では、受講生同士で社会貢献活動について意見交換を行うミニワークも実施されました。4名程度のグループで、「どのようなテーマに取り組みたいか」「中小企業診断士として社会貢献活動を行う意義」「社会課題解決のためのアイデア」について話し合いました。そこでは、「地方の未発見の魅力を活かし地方企業を支援することで地方創生に貢献する」「会社員が会社の枠にとらわれずにディスカッションをできる場作りが必要」といった声がありました。

宮田昌尚講師は「社会課題という大きなニーズは、必ずビジネスにつながる」「社会に貢献することが企業の存在意義であり、利益はその活動を存続させるための必要条件」と指摘されました。
中小企業診断士として、社会貢献を経営の一部としてとらえ、リソースの限られた企業でも出来る取り組みを思案しつつ、中小企業支援ができるよう意識を高めていきたいと感じました。
3.人事戦略(講師:木村和広会員)
「人事戦略」の講義では、企業経営における人事戦略の意味合いや組織における人事機能の振り返りと、この分野における社会保険労務士と中小企業診断士の強みや活躍領域の違いについてご説明がありました。独占業務である社会保険手続きや給与計算に主眼を置く社会保険労務士に対して、中小企業診断士は、経営戦略の一貫として、採用・人材育成などの人事戦略のコンサルティング・支援に、注力するべきだと認識しました。
次に、人事の課題はいかなる組織においても必ず存在するものであることから、企業へのインタビューでは、数多くある課題を体系化して経営者が優先順位を整理できるようにアプローチしていくべきことが示されました。加えて、採用面では、中小企業は、認知度や資金力に限界があること、経営者≒所有者で経営と従業員の距離が近い、という2つの特徴を踏まえた支援策を提示すべきことを学びました。
最後に、ケーススタディとして「人手不足対策」に関する、区の専門家派遣についてのグループディスカッションを実施し、講義内容を踏まえたアプローチについて議論しました。ディスカッション後に木村和広講師から、公的支援の場合の依頼主である行政の「区内で働く人を増やす」というニーズを読み違えないように、という指摘がありました。中小企業診断士として顧客視点を再認識することになり、今後の支援活動に活かしていきたいと考えました。 
船橋竜祐講師による「外国人人材活用」の講義では、日本の在留外国人に関する現状と課題について解説がありました。
講義の冒頭では、一部のSNSやメディアで拡散されている在留外国人に関する正しくない情報に触れ、正確な情報を見抜くためのメディアリテラシーの重要性が指摘されました。次に、就労目的ではない外国人の入国を防ぐため、10月中旬より経営・管理ビザの要件が厳格化される見通しが示されました。具体的には資本金等が500万円から3,000万円以上に引き上げられ、経営・管理分野での修士号または3年以上の実務経験、および中小企業診断士等による事業計画の評価が義務付けられるとのことです。
一方で建設業や物流業では深刻な人手不足が続いており、外国人人材が不可欠な存在になっていると伺いました。日本は賃金の低さや厳しい就労・在留条件のため、優秀な人材が日本より他国に魅力を感じている現状を指摘されました。そのため、現状の技能実習制度を育成就労制度に改め、一定期間経過後の転職を可能にしたり、将来的な永住の機会を広げたりするなど、外国人人材に対して就労先としての日本の魅力を高める取り組みがされている現状を伺いました。
5.感想
今回は、全体を通した大きなテーマとして、中小企業を取り巻く「ヒト」に関わる様々な論点が提示され、多くの学びを得ました。ドラッカーの著書では、唯一の正解のないマネジメント論における、普遍的な基本原則の重要性を学びました。中小企業における人事戦略の難しさは、ワークショップ等を通じて改めて感じることができました。また、日本社会に外国人人材は不可欠な状況になっていることを認識し、国の受入体制や社会の理解醸成に、国民として、中小企業診断士として、今後しっかり目を配る必要があることが分かりました。
また、中小企業診断士の社会貢献事業では、社会課題の解決には大きなニーズがあり、大きなビジネスに繋がるという指摘に強い印象を受けました。これを中小企業のSDGsや地域連携などに対する中小企業診断士の活動を考えるきっかけにしたいと感じました。
第4回は、それぞれの講義のテーマが相互に結びつきました。また、受講生同士の意見交換から中小企業診断士活動への自分一人では気づかない新たな視点も得られました。
6.次回(第5回)予定
日時:2025年10月4日(土)9:15~17:00
会場:新川区民館(中央区新川1-26-1)
講義内容:
①事業継続計画(BCP)(講師:長島孝善会員)
②公的支援制度の活用と補助金制度(講師:菊地和志会員)
(薄友香里会員、山下崇夫会員、安田淳会員)



