学びの場
[2026/01/18] 2025年度城東スキルアップ5月開講コース(第9回)開催報告
2026年1月18日(日)、城東スキルアップ5月開講コースの第9回が、江戸川区のグリーンパレスで開催されました。全受講生27名のうち23名が参加しました。
第9回目のプログラムは以下のとおりです。
- 課題図書「マッキンゼー経営の本質」(講師:鈴木康文会員)
- 事業承継(講師:海老沼優文会員)
- 診断士の仕事の取り方(講師:吉岡雅樹会員)
1.課題図書「マッキンゼー経営の本質」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
課題図書の4回目は、スキルアップコースにおける最後の課題図書として、マービン・バウワー著の「マッキンゼー経営の本質」を題材に、受講生各自が持ち時間2分30秒でプレゼンテーションを実施しました。今回の発表では、プレゼンテーション中の声量、話すスピード、話し方のメリハリなど、3か月前の前回プレゼンテーションと比較すると多くの受講生に格段の進歩が見られました。また、自身の経験に基づきながら、ジェスチャーを交えて内容に対する見解を述べられる受講生も多く、聴衆に対して自分自身の思いをぜひ伝えたいという強い意志が感じられる発表会でした。
過去3回の発表に対する受講生同士のフィードバックの成果が十分に発揮され、課題図書の締めくくりにふさわしい発表となりました。
発表後、グループワークとして「経営の原理・原則をあらわしたピラミッド図」を活用しながら、これまでの4冊の課題図書の内容についての振り返りを行い、各書の要諦について再度認識できました。また、発表やワークを通じ、複数の受講生から「今年度事務局が選出した4冊の課題図書について、なぜこの順番にしたのか理解できた」という意見が聞かれました。
最後に、各自が他の受講生に勧めたい経営理論書の紹介を行い、今後の中小企業診断士活動に有益な情報共有の場となりました。

2.事業承継(講師:海老沼優文会員)
午後の講義前半は、海老沼優文講師より、事業承継に関する講義が行われました。
はじめに、中小企業がおかれている現況や中小企業経営者の年齢分布を踏まえ、事業承継への取り組みが急務である一方で、事業承継が進まない理由についてお話しいただきました。ご自身が事業の承継を経験されたことや、これから承継を検討する立場になられることを踏まえた言葉には重みがありました。中でも、「子供は親が考えている以上に事業を継ぐことに意欲的なこともある。」というご発言は印象的でした。今後経営者に対して事業承継に関する助言を行う際には、当事者の心情を汲み取りつつ発言すべきだと改めて感じました。
次に、事業承継の方法と相続の知識について解説いただきました。事業承継の手法は、大きく「親族内承継」「従業員承継」「第三者承継」の3つに分類されますが、いずれの場合も実行に至るまでには複数のハードルがあります。具体的には、関係者の理解、後継者教育や株式・財産の分配などが挙げられます。事業承継や相続は税理士や弁護士の領域だという思い込みがありました。しかし一連の流れを体系的に理解したことで、中小企業診断士として人と知的資産の承継に関しても支援できることを学びました。
最後に、具体的な事例企業を題材に、事業承継に向けた課題と円滑な承継に向けた提案をグループで議論しました。グループごとに切り口が異なり、「経営者・後継者・事業」の観点で整理しているグループもあれば、「財産権・経営権・従業員・相続税」の観点から提案をしているグループもありました。決まった型がなく、各企業に対してオーダーメイドで事業承継プランを組み立てなければならない点が難しくある一方、やりがいにもつながると感じました。

3.診断士の仕事の取り方(講師:吉岡雅樹会員)
午後の後半には、吉岡雅樹講師より「診断士の仕事の取り方」についての講義が行われました。本講義では、中小企業診断士としてどのように販売の仕組みを構築し、受注を安定させるかという極めて実践的なノウハウを学びました。
まず、仕事獲得の要諦として、顧客との接点を作る「あげるサービス」、信頼構築後の「売れるサービス」、そして本来の目的である「売りたいサービス」という「3層の販売サイクル」を理解しました。これは受注を単発で終わらせず、継続的に生み出すための実践的な考え方です。特に自らの得意分野を活かして、顧客に気軽に試していただける「あげるサービス」を確立し、そこから信頼関係を築くことの重要性を再認識しました。
続いて、支援の説得力を高めるためのフレームワークについて解説がありました。戦略・戦術・数値化・実行を一貫させる「せすじ評価」や、社長の孤独に寄り添うための「3J(実情分析・情報提供・実現可能な計画)」など、シンプルながらも本質を突いた枠組みは、明日からの診断実務に即座に活用できるものばかりでした。「チャンスはチャンスの顔をしてやってこない」という言葉通り、日常の事象を別の角度から捉え、自らの手でチャンスへと形を変えていく泥臭い姿勢こそが、中小企業診断士には求められるのだと痛感しました。
後半には、昔話の「笠地蔵」を題材に、経営の観点から「どうすればさらなるビジネス展開ができたか」を検討するユニークなグループワークを行いました。新たな切り口で提案を考える訓練を通じて、各チームから多角的なアイデアが飛び出し、大いに盛り上がりました。
また、具体的なツールとして「ビジネスチャンス・ナビ」の活用や、中小企業基盤整備機構の「J-Net21」などの活用について紹介がありました。単に理論を学ぶだけでなく、具体的にどのサイトを見て、どのフォーマットを埋めるべきかという「次の一歩」が明確になった点も、本講義の大きな収穫でした。
質疑応答では、独立初期の苦労話から、現在の「お客様がお客様を呼ぶ」エコシステムの構築方法まで、講師の豊富な経験に基づくアドバイスをいただきました。スマートに振る舞うことよりも、まずは「あげるサービス」を通じて顧客の懐に飛び込み、信頼を積み上げていくことの大切さが胸に深く刻まれました。
今回の学びを活かし、各受講生の「あげる・売れる・売りたい」設計シートを作成し、自らの事業展開の羅針盤としていくことを決意した、非常に密度の濃い講義となりました。
4.感想
課題図書「マッキンゼー経営の本質」では、これまで学んできた経営理論の総まとめとして経営の意思とその仕組みの重要性を実感しました。本コースの課題図書はいずれも中小企業診断士が折に触れて立ち返るべき理論が説かれており、都度読み返したいと思います。「事業承継」では、当事者からの臨場感あふれるお話しをうかがうことで、単なる知識の習得にとどまらず、それを現場でどう活用すべきかを具体的にイメージすることができました。「診断士の仕事の取り方」においては、事業者にも中小企業診断士にも共通する販売の仕組みを教えていただいたため、早速自身のビジネスモデルを構築してまいります。
5.次回(第10回)の予定
日時:2026年2月15日(日)9:15~16:45
会場:浜町区民館(7号洋室)
(東京都中央区日本橋浜町三丁目37番1号)
講義内容:
- 製造業診断(講師:松井淳支部長)
- まとめ、成果発表、修了式
(石岡健/千葉県協会、川上奈津子/城東支部入会予定、日浦尚利/城南支部会員)



