城東支部

学びの場

[2026/02/15]2025年度城東スキルアップ5月開講コース(第10回)開催報告

2月15日(日)、2025年度城東スキルアップコース(5月開講)の第10回(最終回)が中央区の浜町区民館で開催されました。受講生27名のうち23名が参加しました。

第10回のプログラムは次のとおりです。
1. 製造業診断(講師:松井支部長)
2. 成果発表/修了式

1. 製造業診断(講師:松井支部長)
 松井 淳講師より、製造業診断についてご講義いただきました。本講義は「製造業の基礎知識」「中小製造業の課題」「中小製造業の診断」の3部構成で、テーマごとに5名程度のグループワークを交えながら理解を深めました。
<製造業の基礎知識>
 はじめに、製造業のビジネスモデルや製造業の形態、製造業の特徴について体系的に学びました。製造業では川上から川下まで多重下請け構造が一般的であり、中小企業は川中の二次加工を担うことが多いこと、下請け製造者であるがゆえに付加価値を付けづらい特徴を理解しました。さらに、設備投資額や事業コスト、生産性に関する具体的な数値や事例を通じて、 消費者の立場からはイメージしにくいBtoBの製造現場についてイメージを深めることができました。
 グループワークでは、仕様(標準品/カスタム品)や生産方式(受注前に生産する見込生産/受注後に生産する受注生産)、在庫方式の組み合わせを整理しました。中小企業診断士試験の学習では組み合わせのパターンを理論として学びましたが、実際には部品調達リードタイムや生産リードタイム、販売先の要求などによって最適な組み合わせが変わるため、顧客の実態を正しく把握することの重要性を改めて認識しました。


<中小製造業の課題>
 次に多くの中小製造業者が直面する経営課題や発展パターンについて学びました。適切な設備投資が行えない場合、生産性や製品品質の低下を招き、その結果、価格競争に陥り利益が減少します。さらに、利益の減少により追加の設備投資が困難になるという悪循環が生じます。そのため、持続的な競争力を確保するには、生産量や品質を維持・向上させる継続的な設備投資が不可欠だと再認識しました。



<中小製造業の診断>
 最後に、製造業における改善の着眼点と経営診断について詳しく学びました。
中小企業においては固定費原価と販管費の管理が経験則に依存した大まかなものとなっているケースも多く、適切な施策を立案するには部門・製品・顧客別の収益を可視化することが診断の第一歩となることを学びました。中小企業診断士として費用対効果の高い支援施策を提案するに際し、経営状況を可視化することは必要かつ有効なプロセスであると感じました。
コスト削減の着眼点としては、経営者が把握しやすい不良品の「廃棄ロスのコスト」のみではなく、見落としがちな仕掛品における「再加工コスト」、出荷前の製品の「再修正コスト」を低減する視点が重要であることを学びました。経営者が気づきにくい視点から改善策を提示することが、中小企業診断士としての役割であり、企業の成長に貢献できると感じました。
 生産管理の業務プロセスの全体像について解説いただき、中小製造業においては個別仕様品や受注生産品が多いため、「正確な見積もり」「適正納期」「受注平準化」「顧客との円滑なコミュニケーション」が重要であることを学びました。
 これらの講義内容を踏まえ実施した2回目のグループワークでは、製造業における「Q(品質)、C(コスト)、D(納期)」の改善策について議論し、いずれか一つを改善すると他の二つへどのような影響があるかを検討しました。短期的には相互にトレードオフが生じるとの意見が多い一方で、品質を改善することで、中長期的には不良品率が改善し、それに伴ってコストが下がり、結果としてコスト低減や納期短縮につながるという意見もありました。QCDを個別にではなく統合的に捉える視点の重要性を学ぶ機会となりました。 また、製造業を診断する際に理解しておくべき点として、「現場で確認するポイント」「ヒアリングで確認するポイント」「部品と工程」「様々な加工法」「専門用語」について解説いただきました。
 講義の最後には、金属加工・板金製造業の事例を用いた診断を行い、経営課題を踏まえた改善策を議論するグループワークを行いました。ヒアリング情報が「経営全般」「原価・調達・品質」「製造」と幅広く多岐にわたるため、様々な意見が出て議論が白熱しました。事例企業は、社長への依存度が高く、計数管理や業務の標準化も十分とはいえませんでした。業績面では、限界利益率は高いものの固定費負担が重く、その結果収益性が低い状況でした。また、自己資本比率も低く、財務面にも課題を抱えていました。いずれも中小製造業に見られる典型的な課題であり、中小製造業を支援する際に押さえるべき論点と改善の方向性について具体的な示唆を得ることができました。



2. 成果発表/修了式
 10か月間にわたる城東スキルアップコースを終え、受講生23名が受講の振り返りと今後のアクションプランを発表しました。
 2分半の発表では、これまでの学びを自分の言葉で整理し、次の行動へつなげる決意が語られ、受講生それぞれの発表からは、前向きな姿勢と意欲が伝わってきました。多くの受講生が「とても有意義な10か月だった」と振り返り、同期と過ごす中で、新たな視点に気づき、互いに刺激を受けたと語っていました。また、グループワークを重ねる中で、論点整理や議論のまとめ方が向上したと実感する受講生も多くいました。今後、中小企業診断士としての実践の場で壁に直面しても、本コースで得た知識・経験・人脈が確かな支えとなると感じました。


 修了式では、松井支部長より、受講生一人ずつに修了証が授与されました。
 事務局からは「成功は容易ではないが、リスクを恐れず自ら機会を創り、積極的に挑戦し行動してほしい」と力強いメッセージが送られました。また、与えられた仕事以上の成果を自ら示し、自身の能力を見える形で発信していくことの重要性も強調されました。
 最後に、同期との信頼関係を大切にし、これまで「先生」と呼んでいた講師や事務局の方々も、これからは「○○さん」と呼びあう仲間として、本コース卒業後も活動を継続していこうという呼びかけがありました。「診断士のサードプレイス」を掲げる城東支部ならではの温かな雰囲気をあらためて実感する締めくくりとなりました。
 第1回目の講義で、松井支部長から「小さなリスクをたくさんとってください」との言葉がありました。私自身も中小企業診断士として、この10か月間で得た学びとつながりを次の一歩に変え、挑戦を重ねながら行動で成果を示していきます。


(鈴木 かれん/城東支部入会予定、西紘 希/城東支部入会予定、古田 秀治/千葉県協会会員)

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