学びの場
[2026/03/07]2025年度第10回城東スキルアップコース(6月開講)開催報告
3月7日(土)、2025年度城東スキルアップ6月コースの第10回目が浜町区民館にて開催されました。29名の受講生中、24名が出席しました。
第10回目のプログラムは次のとおりです。
1. 製造業診断(講師:松井淳支部長)
2. 成果発表会
3. 修了式
1.製造業診断(講師:松井淳支部長)

冒頭では、3DプリンターやIoT(モノのインターネット)といった新しい技術を活用するには、まず現状を冷静に把握することが大切だと教わりました。
また、工場を診断する際は、事前に「どこに問題がありそうか」という予想(仮説)を立てて現場に行くことが重要です。しかし、近年は工場が海外に移転し、私たちが実際の現場を見る機会が減っています。だからこそ、研究会などに参加して意識的に現場へ足を運び、工場を見る目を養う必要があるとのことでした。
続いて、利益を改善するための4つの重要なポイントについて学びました。
- 在庫・数量: 作業の準備回数を減らし、作業開始時の無駄をなくします。
- 勤怠・時間: 作業の効率を上げます。外部に仕事を委託した際に生じる、連絡不足などの無駄も見直します。
- 設備・投資: 減価償却費の減少を手放しで喜んではいけません。古い設備を使うと製品の精度が落ちたり、やり直しが増えたりして、目に見えないコストが膨らむからです。
- ツール・消耗品: 高価なドリルのような道具は、使い方を決めて守るだけで費用が大きく減った事例があります。無駄を「見える化」することが、すぐに出る効果につながります。
さらに、製品の作り方に合わせた管理や戦略についても解説がありました。国内の中小製造業では、注文を受けてから作る「受注生産」が中心です。組み立てる製品なら「製造番号」ごとの管理、材料を加工する製品なら「まとまった量(ロット)」ごとの管理が基本になります。
また、企業向けの製品(生産材)を作る場合、部品の供給が止まると顧客に大きな損害を与えてしまいます。そのため、丁寧な保守サービスを提供することが、他社との違いも生み、利益につながります。加えて、急な注文や難しい要望に応えるため、あえて自社で製品を作り(内製化)、品質や納期の主導権を握るという決断も必要です。
さらに、製品に応じて工場の立地も重要です。飲料などの重量や容積が大きい製品は、運送費を抑えるために消費地の近くで作るのが有利です。
現場の動きを「財務的な視点」で裏付けることも、中小企業診断士の重要な役割です。分析の第一歩は、工場の人件費や設備の費用を正しく振り分けることです。そこから実際の利益や、赤字にならない最低限の売上(損益分岐点)を計算します。在庫の金額を都合よく評価するなど「見せかけの黒字」を作っていないかを確認し、本当の利益を計算し直すことが重要です。
午後は、金属加工・鈑金製造業を題材にグループワークを実施し、多くの示唆を得ることができました。その場しのぎの対応でも利益が出ていたため、人件費の無駄や作業効率の悪さを放置してしまった「よくある製造業」の姿でした。各グループで活発に意見を交わし、具体的な課題や改善策を発表し合いました。
最後に松井淳支部長から、問題がたくさんあるからといって、モグラ叩きのように行き当たりばったりで解決しようとするのは避けるべきだと伝えられました。まず、経営の数字を根拠に課題を絞り込み、優先順位をつけ解決していくことが必要です。特に「一人ひとりの生産性を高めること」を優先的に取り組むべきだとお話がありました。会社の資金繰りが厳しい原因は、現場の非効率が生む「無駄な人件費」にあることが多いそうです。そのため、まずはホワイトボードや表計算ソフトを使って現状を「見える化」し、変更時のルールや検査の決まりを徹底して「やり直し」の発生を防ぐことが、収益改善の具体的な第一歩になると教わりました。
製造業の診断とは、工場の「今」を数字と観察で明らかにし、人や設備への未来の投資を促すサポートに他なりません。今回学んだ「効率化の視点」と「財務的な視点」を武器に、今後も現場に深く入り込む診断を実践していきたいと感じました。
2.成果発表会
10ヶ月間にわたる城東スキルアップ6月コースを終えて、出席した24名の受講生それぞれがコース受講の振り返りと今後のアクションプランを発表しました。
受講生たちは2分半の発表を通じて、10ヶ月間で得られた学びを振り返るとともに、その学びを活かした具体的なアクションプランを発表しました。この発表では、学んだことを振り返りつつ、近い将来の独立に向けた活動や企業内診断士としての活動などそれぞれの決意を表明しました。
この城東スキルアップコースに参加したという行動を次の行動に結びつけていくことが大切です。各自の発表を通じ、このことが参加者全員に共通する思いであると実感しました。この場で得られた学びや経験、何よりも仲間とのつながりが今後の活動にとって非常に大きな意味を持つはずです。

3.修了式
城東スキルアップコースのすべての講義を終えて、修了式が行われました。
修了式では、最初に入山能力開発推進部長より、受講生に向けて言葉をいただきました。そのなかで、受講生たちの10ヶ月間のコースを通じた出席・課題提出を評価した指数が伝えられました。そして、今後の活動で成果を高めていくことを意識していくこと、何もしないで後悔するのではなく失敗したとしても果敢に取り組むことが次の行動につながるとの熱いメッセージをいただきました。
そして、松井淳支部長より、当日出席した24名の受講生一人ずつに修了証が授与されました。
4.感想
城東スキルアップコースを運営してくださった講師・事務局の皆さま、本当にありがとうございました。スキルアップコースは修了しましたが、初心を忘れずに仲間とのつながりを大切にしながら中小企業診断士として活動してまいります。
(廣石 隆太郎会員、鹿又 誠会員)



