城東支部

学びの場

[2022/3/5]2021年度 城東スキルアップコース(第10回)開催報告

厳しい寒さもようやく和らぎ、日ごとに春の訪れを感じる3月5日(土)、第10回城東スキルアップコースが開催されました。今回で全10回の最終回となりますが、新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえて、完全オンラインで開催され、20名の受講生が参加しました。
今回のプログラムは次の通りです。

1.工場診断と品質管理(講師:小田原清会員)
2.成果発表/修了式

1.工場診断と品質管理(講師:小田原清会員)

講師の小田原清会員は、工場現場での豊富な実務経験をお持ちです。これまで、品質管理の専門家として、さまざまな企業の支援をされています。
受講生への配布テキストには、ご自身の経験も踏まえながら、工場診断の全体像が体系立ててまとめられています。

(1)講義
講義内容は「企業経営の基本」「企業における工場の役割」「工場の日常管理とコストダウン」「工場レイアウトの検討」「経済性分析」「品質管理」についてです。
工場の運営と企業経営は不可分であるというお話の中では、企業のQCD(品質、原価、納期)における工場の果たすべき役割など、診断士試験を思い返す内容が多数ありました。



また、労働安全活動では、工場勤務時代の痛ましい災害のお話をうかがいました。小田原会員は、「安全活動は、従業員の命を守り、従業員の家族の幸せを守るものである」と、安全活動の重要性を強調されていました。ハインリッヒの法則に基づくヒヤリハット報告の重要性を再認識したと同時に、私たちも経営診断等で工場を訪れたときは、安全面で気になる点がないかなど、目を光らせる必要性を感じました。 見える化のパートでは、引用されていた遠藤功氏の次の言葉が印象に残りました。 「見えていない現場は壊れる。見えている現場は創れる。市場が見えれば、新たな需要は創れる。『見える』ことこそ、それは企業活動の根源的な競争力であり、生命線なのである」(『見える化』東洋経済新報社2005年10月) 非常に核心をついた言葉であるように感じ、感銘を受けました。 最後は品質管理について、花王のエコナの実例から始まり、統計解析や総合的品質管理(TQM)など、多方面から解説いただきました。なかでも、品質管理の本質を示すものとして紹介された次の言葉は、しかと胸に刻みたいと思いました。 「多くの方が、品質管理というと決められた基準を守るためのもので、収益を上げることとは逆の、どちらかと言えば受け身の仕事と考えがちである。(中略)顧客はその“品質”があるからこそ対価を払ってくれるのであり、企業価値の源泉はそこにしかないのである」(坂根正弘氏「大企業の品質偽装はトップの責任だ」文藝春愁2018年2月号)

(2)ワークショップ
問題意識を持ち、考えるきっかけを作るという趣旨のもと、「中小企業における温室効果ガス削減の方策を考える」をテーマとして、ワークショップに基づく発表が行われました。



オンライン開催のため、ワークショップは事前課題となりましたが、10分の持ち時間の中で、5つのグループが発表を行いました。 温室効果ガス排出の現状の他、削減のメリット、検討のステップ、診断士としての関わり方など多様な観点から発表が行われました。中小企業の社会課題への取り組みをいかに支援していくかを考える、貴重な機会となりました。 全5グループからの発表の後、小田原会員からは、エコアクション21について解説いただきました。エコアクション21は、環境省が定めた環境経営システムに関する第三者認証・登録制度であり、中小企業でも比較的容易に取り組めるものだそうです。中小企業診断士は審査員資格の応募要件を満たすので、是非チャレンジして温室効果ガス削減に寄与してもらいたいとのメッセージをいただきました。

2.成果発表/修了式

(1)成果発表
約1年にわたる城東スキルアップコースのまとめとして、受講生全員が「スキルアップ受講の振り返りと今後に向けたアクションプラン」を発表しました。 オンライン中心の開催だったにも関わらず、多くの受講生が、講師や事務局の方々、受講生とのつながりが収穫であったと発表していたのが印象的でした。



(2)修了式
オンライン開催のため、城東スキルアップコースの修了証は事前送付となり、大石支部長による受講生への修了証の授与も、オンラインにより行なわれました。 修了証授与の後、大石支部長と入山能力開発推進部長から激励のお言葉をいただきました。 大石支部長からは、「今後に向けた支援の在り方として、資金繰り支援から経営支援にシフトしていく中で、これからが診断士の真価が問われる」と激励を受けました。 入山能力開発推進部長からは、「皆さんは城東スキルアップコースを修了して基本的な知識を得たが、診断士として実戦の入り口に立ったに過ぎない。今後は様々なチャンスに積極的に手を挙げて経験を積んでほしい」と受講生の心を鼓舞していただきました。成果発表で述べた自らのアクションプランを思い起こし、“使える診断士”を目指して経験を重ねていく決意を新たにしました。 その後、事務局の先輩方からもコメントをいただき、本年度の城東スキルアップコースが終了しました。

3.オンライン懇親会

修了式が終了した後、オンラインによる懇親会が開催されました。大石支部長と入山能力開発推進部長にもご参加いただき、講師や事務局のみなさまを含め総勢50名での懇親会でした。先輩診断士の体験談や受講生同士の情報交換など、和気あいあいとした有意義な懇親会でした。


4.感想

コロナ収束の見通しが立たない中、最終回も残念ながらオンライン開催となってしまいましたが、講師や事務局のみなさまのおかげで、滞りなく受講することができました。 コロナ禍で様々な制約があるなか、円滑な運営で我々受講生をサポートしていただいた事務局のみなさま、豊富な経験に基づく貴重なお話を聞かせてくださった講師の先生方、ありがとうございました。城東スキルアップコースの修了をゴールとせず、さらなる成長を目指し、今後も学びを続けていきたいと思います。

(小泉亮太会員、加藤裕介会員、久保昌樹会員)

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