城東支部

学びの場

[2024/01/28]葛飾区立立石図書館ビジネスセミナー
『ミスの再発防止に役立つ「なぜなぜ分析」』開催報告

よく晴れながらも空気の冷たい冬らしい1日となった128日(日)14時から、葛飾区立立石図書館ビジネスセミナーが開催されました。タイトルは『ミスの再発防止に役立つ「なぜなぜ分析」』で、製造業に勤務する石川慶成会員が講師を務めました。

当日は、男性・女性、若い方から高齢の方まで幅広い層の17名が参加されました。開場30分前から入場をお待ちになっている熱心な受講者がいました。会場の入り口には、図書館に用意いただいた関連書籍が陳列してあり、セミナー前後にご覧になる受講者が多くいらっしゃいました。

 


■セミナー概要
石川会員は墨田区の町工場に勤務しながら企業内診断士として活動され、社内では品質マネジメントシステムの管理責任者として、日々「仕事からミスを無くしたい」という強い思いを持って働いています。今回のセミナーでは、ミスを無くすために有効な「なぜなぜ分析」とは何か、どうして有効なのか、どのように使うのか、といった点について、ワークを交えながらお話をいただきました。

(1)なぜなぜ分析とは何か
まず「なぜなぜ分析」とは、「問題の根本原因を見つけ出すための手法」であると言います。問題解決の際、表面的な原因である「直接原因」に対処するだけでは問題が再発する可能性があり、再発を防ぐためには「根本原因」を特定し、除去する必要があります。「なぜなぜ分析」はこの「根本原因」を突き止めるための手法であり、トヨタ自動車工業(現:トヨタ自動車)の元副社長であった大野耐一氏らが作り上げ、現在では製造業に限らず様々な業界で活用されています。

(2)有効な理由
この「なぜなぜ分析」が有効な理由について、石川会員は「シンプル」「さまざまな状況で活用できる」「メリットが多い」の3つを挙げています。「シンプル」とは、複雑な知識やスキルが不要で、「なぜ」を繰り返すだけですぐに使えること。また、仕事に限らず日常場面でも使える応用範囲が広い手法であり、「さまざまな状況で活用できる」と言います。更に「なぜなぜ分析」を通じて、問題解決力向上や無駄な時間の削減など、多くの副次的な効果も生み出すことができる、「メリットが多い」手法だということです。

(3)なぜなぜ分析の使い方
これらの説明の後、いよいよ「なぜなぜ分析はどのように使うのか」という話に進みました。「なぜなぜ分析」は、5つのステップで行います。まず1つ目のステップが「問題の明確化」です。ここでは、「何が問題なのか」を確認し、再発防止につなげたいことを明確にします。続くステップ2が「事実の把握」です。思い込みや推測に気をつけて、事実に基づく情報を過不足なく集めるのがポイントです。第3のステップが「真因の特定」です。ステップ1で明確にした問題に「なぜ」をぶつけていきます。ここで、よく「なぜなぜ5回」と言われますが、石川会員によると、必ずしも5回である必要はなく、真因にたどり着いたかどうかが重要だということです。次のステップ4では、「解決策の立案」をします。真因に対する解決策を考えるわけですが、ここでの解決策はシンプルに「真因の裏返し」で良いのだということでした。最後のステップ5が「検証」で、解決策が再発防止につながったかを確認します。再発する可能性があるのであれば、解決策として妥当ではないと判断します。

「なぜなぜ分析」の進め方を確認した上で、事例紹介と身近なテーマを用いたケースワークを行い、受講者の理解を深めました。事例紹介では、社員のやる気を向上させるために臨時ボーナスを支給したにもかかわらず、社員のやる気が逆に更に下がってしまった会社を取り上げました。そこでは、ステップに沿って「なぜなぜ分析」を実施することで、真の原因は人事評価制度が無いことであることを突き止め、有効な対策を打つことができたそうです。ケースワークでは寝坊して遅刻した会社員の再発防止を考えるという身近なテーマを扱い、受講者が熱心に取り組んでいたのが印象的でした。

(4) 使い方の留意点
講義の最後に、石川会員から「なぜなぜ分析」の留意点についてお話いただきました。1点目は、「なぜなぜ分析」は万能ツールではなく、特に複合的な要因の分析には使いづらいということ。2点目は、「なぜなぜ分析」を進める上では、あくまで真因を特定してから解決策を検討することが重要であるということ。解決策を先に決めてしまうと、それと整合性のある原因を真因としがちで、結果的に再発防止に繋がらないので注意すべきです。3点目は、ヒトを追求しないということです。これは講義の中でも繰り返し言及されていたことで、真因を突き止めるのが重要で、ヒトを責めても解決しないのだという石川会員の強い思いが伝わってきました。

(5) 最後に
講義終了後に質問を受け付けると、多くの手が上がりました。いずれの質問も受講者が職場で直面されている具体的な問題に関するものであり、本セミナーのテーマに対する関心の高さや「なぜなぜ分析」の応用範囲の広さを改めて窺うことができました。

石川会員は、「なぜなぜ分析」で重要なのは「実際にやってみた感覚」なのだと言います。講義の詳しい内容は、城東支部YouTubeチャンネルで視聴することができます。皆さまもぜひ職場やご家庭で、「なぜなぜ分析」を「やってみて」いただきたいと思います。

 本セミナーの内容は城東支部YouTubeチャンネルで配信中です。ご興味のある方は是非ご覧下さい。

 

(佐々木祥 会員)

pagetop

Translate »