城東支部

学びの場

[2024/03/10]葛飾区立 立石図書館ビジネスセミナー開催報告
『伝わるプレゼン資料の作り方と発表のコツ』

3月の冷たい雪が消え、一転して暖かい日差しが降り注いだ10日(日)、葛飾区立立石図書館ビジネスセミナーが開催されました。セミナーのタイトルは『伝わるプレゼン資料の作り方と発表のコツ』です。医療介護業界のベンチャー企業に勤務する豊田裕史会員が講師を務めました。

当日は、性別・年齢問わず幅広い層の方が計32名参加されました。申込み開始からほどなくして満席となり、立ち見でも良いので参加したい、という問い合わせもあるほどでした。セミナーテーマも相まって20代や30代の参加者も多く、関心の高さがうかがわれました。

セミナー概要

豊田会員は医療系Webメディア運営などの経験を通じて、人に伝わるわかりやすい資料の作り方と、発表のノウハウを磨きあげてきました。豊田会員の体験談を交えながら、効果的なプレゼンを行うコツについて参加者が学べる内容でした。

「資料作成の苦手意識をなくす」、「本番までの準備の大事さを学ぶ」、「プレゼンのチャンスに前向きに挑戦できるようになる」を目標に、本セミナーが始まりました。

(1) 伝わるプレゼン資料を作るための「目的」

冒頭、伝わるプレゼン資料作成の3ステップについて説明がありました。「目的」、「メッセージ・構成」、「デザイン」です。

プレゼンにおける目的は「相手に納得してもらい、新しい行動を起こすこと」と豊田会員は定義づけました。目的を間違えてしまうと、自分と相手の期待する内容がかみ合わず、プレゼンがうまくいきません。目的を軽視することで、思い込みや先入観が入ってしまう原因にもなります。

資料を作成する際、すぐに手を動かしたい気持ちになりますが、まずはしっかりと目的を考えることが重要だと理解しました。豊田会員自身の職場での失敗談も交え、参加者の方々に平易に伝わるよう工夫されていました。「当たり前だからこそ、しっかりとした目的設定が必要」という豊田会員の力強い主張が伝わってきました。

(2) 伝わるプレゼン資料を作るための「メッセージ・構成」

プレゼンにおけるメッセージは「相手を期待する行動に導く言葉」です。プレゼン資料というと見た目(デザイン)に目がいきがちですが、それよりも中身(メッセージ)が大事、というのがここでの結論でした。

何を伝えるべきか、どう伝えるべきかを考えるにあたり、豊田会員はPCで作業を始める前に、紙へ書き出すことを勧めていました。「考えが整理されて新しいアイデアが生まれる」、「線を引く、丸をつけるなど作業がしやすい」、「書き出した内容を並べ替えると全体の構成が見えてくる」をメリットとして挙げています。

一方、PCでいきなり作業を始めてしまうデメリットにも言及されました。「考えながらスライドを作るため効率が悪い」、「後からスライドの並び替えといった修正の手間がかかる」、「デザインや文章の細かいところが気になって作業が進まない」という説明がありました。急いでいるときこそ、すぐに作業へ入りたい気持ちを抑え、中身について考える方がよいという豊田会員の体験談を踏まえたお話に、参加者の皆様はうなずかれていました。

プレゼンにおける構成は一見難しい印象を受けますが、豊田会員の趣味であるマラソンを例にしたプレゼン資料で、全体から章単位、スライド単位へと構成するコツについて、わかりやすく解説されていました。

プレゼン資料を作る際、「1スライド1メッセージ」、「メッセージをシンプルに」と言われることがあります。1つのスライドに情報を詰め込みすぎないことの重要性を、具体的な例とともに学ぶことができました。

(3) 伝わるプレゼン資料を作るための「デザイン」

プレゼン資料作成における悩みとして、「デザインがうまくない」、「デザインセンスがない」、といったことを挙げる人は少なくありません。しかし、プレゼン資料作成におけるデザインは、センスではなくちょっとしたコツが大事と豊田会員は強く主張されていました。

結局のところ、デザインとは小さいことの積み重ねであり、細かいところにどれだけ気を配れるかが大事になります。豊田会員がセミナーで使用したスライドはまさにそれを体現していました。文字を最小限にとどめ、写真やイラストを上手に使われており、直感的に理解することができました。

(4) 発表のコツ

資料作成の次は、発表までの準備の重要性に関する内容でした。豊田会員自身、発表は苦手であるという告白から始まり、友人の結婚式のスピーチを引き受けてから意識が変わったということでした。スピーチに対して相当な不安を抱えながらも友人の期待に応えたかった、というエピソードから、豊田会員の実直な人柄が伝わりました。

人は苦手なことからは逃げたいものですが、逃げてしまうと余計に苦手意識が強くなってしまいます。前向きに挑戦し、失敗を振り返り、次のアクションにつなげることの大事さを豊田会員は伝えていました。

(5) 最後に

セミナーの主旨とも合致するように、豊田会員のプレゼン資料は、常に細部にまで気を配られており、全体でどこの話をしているのかが迷わずわかるように工夫されていました。

質疑応答では多くの質問が寄せられました。その一つ一つに対して豊田会員は真摯に回答されていました。セミナー終了後も参加者からの質問が途切れず、時間の許す限り丁寧に対応されていた姿が印象的でした。

今回のセミナーに参加された方々が新しい気づきや学びを得て、明日からご自身のプレゼンに役立てていただけるものと強く感じました。

セミナーの詳しい内容は、城東支部YouTubeチャンネルで視聴することができます。ぜひ御覧ください。

https://www.youtube.com/channel/UC02aQ5x96w0Qm5ZE-PRp1Lg/videos

(石川慶成 会員)

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