城東支部

学びの場

[2022/12/03]2022年度 第7回城東スキルアップコース開催報告

12月3日(土)、城東スキルアップコース第7回が、中央区明石町区民館で開催されました。本年度は幸いなことに、第1回から2022年最後の今回までリアル開催が続いています。今回は21名の受講生が参加しました。

第7回のプログラムは次のとおりです。
1.課題図書「ストーリーとしての競争戦略」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
2.企業の競争戦略に関するグループワーク(講師:鈴木康文会員)
3.創業支援(講師:鈴木美穂子会員)

1.課題図書「ストーリーとしての競争戦略」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
経営戦略における競争戦略について論じた名著「ストーリーとしての競争戦略(楠木建著)」の概要について、受講生がプレゼンテーションを実施しました。

受講生は、事前に500ページを超える本書の内容をA3用紙1枚にまとめて、講義当日に発表します。前回に引き続き、2つのグループに分かれて、持ち時間1人3分の発表と質疑応答を実施しました。併せてグループごとに意見交換し、受講生全体で発表内容を共有しました。

課題図書のプレゼンテーションは今回で4回目を迎え、資料化スキルとプレゼンテーションスキルが向上し、発表の魅力度が増しているように感じました。

1つ目のグループでは、経営者の持つ企業経営のストーリーを活かした中小企業診断士としての提案のあり方に関する議論が活発に行われました。2つ目のグループでは、受講生の個性に富んだ発表から学びを得るとともに、本書の実践での活用の仕方について意見交換が行われました。

経営者にヒアリングをすると動画のようにストーリーのある企業経営であっても、中小企業診断士の提案書ではフレームワークを活用し、静止画のように断片的に切り取ってしまうことがあります。「いかに経営者に寄り添いながらストーリーとしての競争戦略を一緒につくるか」という議論が心に残りました。

 

2.企業の競争戦略に関するグループワーク(講師:鈴木康文会員)
課題図書の「ストーリーとしての競争戦略」の内容を踏まえて、ポーター賞の受賞企業のレポートをもとに、4つのグループに分かれて事例企業の事業戦略のコンセプトや競争優位の源泉、施策の一貫性について意見交換と全体での発表をしました。1社の同じ事例でも、各グループからは様々な観点から意見が発表されました。戦略の読み解きに留まらず、それを事業戦略として実践し、持続的な利益を出し続けることの難しさについて改めて考えることができました。特に競争優位の源泉について、事業戦略のコンセプトの置き方やターゲットの定め方、共有する価値観など、多岐に渡る意見が出たことが印象的でした。

本書の理論を学ぶだけではなく、実際に競争優位を築いている企業を理論に当てはめ、受講生同士で意見交換することで、中小企業診断士としての経営者への支援の仕方について考え直すことができました。



3.創業支援(講師:鈴木美穂子会員)
鈴木美穂子会員より、創業支援について講義していただきました。講義の初めに、本講義の目的は、創業支援について体系的に学んでいくことで、今後支援業務に携わる際に柔軟に対応できるようになることであると説明がありました。講義の後半では、事例企業を題材とした創業支援に関するグループワークを実施しました。

講義は、鈴木美穂子会員の体験談を交えながら、創業支援の心構えや基礎知識など、この場でしか聞けない、実務の貴重な内容ばかりでした。

実際の相談窓口には17歳から78歳に至る幅広い年代の方が来られます。その相談内容は、実務経験がないのに喫茶店などの飲食店の経営にチャレンジしたい方や、会社で培ってきた経験を活かして事業を始めたい方など多岐にわたります。そのような期待と不安を抱える相談者に対して、創業までの課題を抽出して創業につなげていくことや、中小企業診断士として何が求められているかなどをお話しされました。また、事業化に向けた創業計画書の作成から融資を受けるまで、都度軌道修正し対策を一緒に考えていく重要性を学びました。

後半は、「課題を明確にして、創業戦略とビジネスモデルをつくる」をテーマに、5グループに分かれてグループワークを実施しました。相談者の方の事例を題材にして、「相談者の方の課題は何か?」「どのような事業コンセプト、ビジネスモデルがよいのか?」などを議論し、グループごとに発表しました。


グループワーク中に立案した計画は、実際に事業者の方が再考した案と同じだったと講師から説明がありました。その評価は、立地や営業許可など、実現可能性が低いものだったと知り、計画立案の難しさや苦労を学ぶことができました。それと同時に、中小企業診断士として私たちが創業支援に携わることのやりがいや、責任を強く認識しました。

4.感想
今回4回目となる課題図書については、受講生が資料化スキルやプレゼンテーションスキルを更に深化させ、得られた知見を後の事例に当てはめて考えているのを感じました。また、創業支援の講義から学び得た、相談者一人一人に寄り添って支援していくことが、相談者の夢を実現させる一歩であることを常に意識していければと思います。

5.次回(第8回)の予定
日時:2023年1月7日(土) 9:15~17:00
会場:京島第二集会所(東京都墨田区京島3-52-8)
講義内容:
 ・商店街支援(講師:大和和道キラキラ橘商店街事務局長)
 ・診断事例(事業承継)(講師:大石正明会員)
 ・M&A(講師:近藤尚樹会員)

(大久保智紀会員、村田和華子会員、山口政徳会員)

 

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