学びの場
[2023/02/04]2022年度 第9回城東スキルアップコース開催報告
2023年2月4日(土)、城東スキルアップコース第9回が、中央区豊海区民館で開催されました。今回は23名の受講生が参加しました。第9回のプログラムは次のとおりです。
1.課題図書「マッキンゼー経営の本質」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
2.課題図書 グループワーク(講師:鈴木康文会員)
3.中小企業のIT支援(講師:高仲秀寿会員)
4.診断士の仕事の取り方(講師:吉岡雅樹会員)
1.課題図書「マッキンゼー経営の本質」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
経営とは何か。いかにすれば成長するか。経営の原点とも言える根源的な問いに答えた名著「マッキンゼー経営の本質」の概要について、受講生がプレゼンテーションを実施しました。
受講生は、事前に本書を精読し、A3用紙1枚にまとめて、講義当日に発表します。 今回は、受講者全体でのプレゼンテーションとなりました。持ち時間1人2分半の発表と質疑応答を実施しました。
課題図書のプレゼンテーションは今回で最後となる5回目を迎えました。実際の診断事例や業務経験を交えた説明や、過去の課題図書との関連性を整理した説明など、受講者の資料化とプレゼンテーションにおける様々な工夫が見られました。
課題図書の精読、資料作成、プレゼンテーションの準備など、時には大変なこともありましたが、最後の課題図書のプレゼンテーションを終えて、少し名残惜しさも感じました。
2.企業の競争戦略に関するグループワーク(講師:鈴木康文会員)
これまでの経営理論課題図書4冊を、大石正明会員の「大石ピラミッド(注釈)」 を用いて復習するグループワークを実施しました。課題図書ごとに、どの分野を重点的にカバーしているかを、5つのグループに分かれて議論しました。また、次に読みたい経営理論図書についても受講生同士で案を持ち寄り、グループとしての推薦図書をまとめました。
(注釈)大石ピラミッドとは、経営の原理・原則をピラミッド構造で見える化した概念図。最上位概念の「経営理念(原理)」から、「経営ビジョン(原則)」「経営戦略(基準)」「経営戦術(方法)」「経営実行(実践)」の順に具現化していく考え方。
その後、各グループから、経営理論課題図書4冊の考察と次に読みたい経営理論図書の発表を行いました。それぞれの課題図書からも学びが多かったのですが、4冊を比較し、「大石ピラミッド」を用いて俯瞰的に復習することで、理解がより深まりました。
次に読みたい経営理論図書では、経営者が書いた本、中小企業向け経営理論の本、会計分野の本など、受講者および各グループの独自性・多様性が垣間見られたのが印象的で、様々な意見・考えが非常に参考になりました。
3.中小企業のIT支援(講師:高仲秀寿会員)
高仲秀寿会員より、中小企業のIT支援について講義していただきました。内容は3部構成で、ITに詳しくない診断士でも実践可能な支援方法について、実例を交えながら解説していただきました。また、実際の支援活動で適用可能な各種サービス(クラウドサービスやアプリ)のご紹介もありました。今後、理論から実践へと移行していく受講生にとって非常に有益なお話をいただきました。
はじめに「コロナで変わったビジネス環境」というテーマで、中小企業のITを取り巻く状況についてお話がありました。ここでは、(1)コロナの拡大とともに急増したテレワーク導入企業数が減少傾向に転じたこと、(2)コロナ禍における補助金をむやみに利用したことで、「動かない(使われない)IT」の発生を生み出し、その後始末が今後の課題であるということをお示しいただきました。
つぎに「中小企業とIT支援と診断士」というテーマで、IT支援の実践メソッドについて、さまざまな視点からお話しいただきました。その中でも「(ITに詳しくない)診断士のIT支援のポイント3箇条」と「具体的なIT支援の進め方」は特に有益なものであると感じました。
前者においては、「広範なカバー可能範囲を目指す」、「支援ニーズに的確に対応する」、「問題解決のステップ作りからはじめる」、の3箇条について、これらを体験することを目的としたグループワークを実施しました。社長と診断士に分かれたロールプレイングは、各グループで盛り上がっていたように感じました。
後者においては、支援先との関係性の構築方法、ゴール設定の考え方など、実務上有益なお話をしていただきました。
最後に「公的支援制度とIT活用事例の紹介」というテーマで、支援制度(補助金、無料相談、専門家派遣など)の内容と、支援制度を活用したIT支援を進める上でのポイントについて説明をしていただきました。「投資効果を明確にする」、「実施期間後のことも忘れない」、など「長きにわたって効果を発揮し続けるIT投資」を実現するポイントをご説明いただきました。本日の講義内容を、実践の場へと携えていきたいと思いました。
4.診断士の仕事の取り方(講師:吉岡雅樹会員)
吉岡雅樹会員より、中小企業診断士のマーケティングについて講義していただきました。本講義では、中小企業診断士のマーケティングのポイントとして、あげるサービス、売れるサービス、売りたいサービスを明確にし、自社(自分)と他社(他人)との関係性を仕組み化することの重要性に関して、ご自身の経験を交えてご説明いただきました。
講義前半では、昭和時代の過去のマーケティングと平成から令和に至る現在のマーケティングの違いをご説明いただき、「笠地蔵」というおとぎ話の中で、マーケティングの観点での教訓が何かについてグループワークを実施しました。また、著名な企業の具体的なあげるサービス、売れるサービス、売りたいサービスを分析し、中小企業診断士として自身のこれらのサービスを明確化することの重要性をご説明いただきました。
講義後半では、自社(自分)と他社(他人)との関係性を構築し、仕組みを作ることの重要性をご説明いただき、受講生の職業の産業分類から、受講生同士でどのような関係性をつくれば仕組みとして成り立つか、グループで発表するグループワークを実施しました。 講義全般を通して、中小企業診断士が独立から事業を軌道に乗せるまでに役に立つ貴重なノウハウをご自身の経験も交えてご説明いただきました。受講生にとって今後の活動に大変参考になる講義だと感じました。
5.感想
5回目となりました今回の課題図書の発表では、これまでの講義での気付きや、経験を踏まえた発表が多く、余裕を感じさせる発表もありました。一方、人に分かりやすく伝える力には完成がないとも言えますので、継続的な訓練が必要と感じました。中小企業のIT支援、診断士の仕事の取り方の講義では、今後の診断士としての活動に役に立つ具体的な内容が多かったので、実際の活用を通して、一つでも多く身に付けて行きたいと感じました。
6.次回(第10回)の予定
日時:2023年3月4日(土) 9:15~17:00
会場: 台東区立浅草文化観光センター5階大会議室(東京都台東区雷門 2−18−9)
講義内容:
①製造業診断
②まとめ/成果発表/修了式
(市川尚人会員、大島隆裕会員、前田泰宏会員)