学びの場
[2024/03/26]城東支部スキルアップセミナー 『顧客が自ら話し、ニーズに気づく対話術!~潜在ニーズを引き出すSPIN話法~』開催報告
3月26日(火)、「城東支部スキルアップセミナー」がオンライン形式で開催されました。本セミナーは、城東支部会員に対して中小企業診断士として役立つ情報を提供するとともに、城東スキルアップコースのOBOGがセミナー講師として登壇し、講師力の向上につなげることを目的としています。セミナー受講者から講師が様々なフィードバックをもらえるよう、城東支部会員同士という気安さを活かしつつ、定期的に開催しています。今回は、三野翔平会員による『顧客が自ら話し、ニーズに気づく対話術!~潜在ニーズを引き出すSPIN話法~』と題して講義が行われました。
三野会員は、製薬会社でMRとして14年間勤務されています。本来、MRは医療情報提供者ですが、実態は営業に近いと言われています。一方で、MRは価格交渉、チャネル選択、自由なプロモーションなどが禁止されており、日本で最もPR手段が限られた営業とも言われています。その中で、MRが営業活動として出来ることは顧客との10分程度の面談のみとなり、短い時間で成果を出す必要があります。近年は、コロナ禍による接待の禁止やリモートでの商談が増え、顧客接点が減少しています。そうした状況を受けて、より効率的に顧客のニーズを引き出すための対話スキルを磨く必要があり、三野会員は今回紹介するSPIN話法を習得するに至ったとのことでした。
SPIN話法は、「状況質問」、「問題質問」、「示唆質問」、「解決質問」の4つの質問を通じて、顧客の潜在的なニーズを顕在化するためのスキルです。携帯電話メーカー大手のモトローラー社でも営業活動に取り入れられており、同社では新規顧客の注文数が増加し売上アップに貢献した実績があります。
SPIN話法では、特に問題が与える影響や結果について質問する「示唆質問」が一番重要だと三野会員は言います。講義も「示唆質問」を中心に行われ、三野会員ご自身の新薬の提案を行った際の成功例や商談での失敗例も交えながら、「示唆質問」の効果や使い方について解説いただきました。参加者も商談の場面でSPIN話法をどう活用していくか具体的なイメージを持つことができたのではないでしょうか。
また、中小企業診断士におけるSPIN話法の活かし方についても、飲食店を例として示唆質問を考えるワークが行われました。顕在化している問題から示唆質問を通じて、顧客のニーズを発掘する方法を学ぶことができました。
発展として、SPIN話法で得た顧客ニーズからどのように解決策を提示するかについても説明がなされました。解決策の提示方法として、製品の特徴を説明するだけや、一方的に利点を説明してしまうと、顧客の支持が得られません。顧客のニーズを満たし、顧客にどのような利益がもたらされるかを念頭に置いて、解決策を提示することが大切です。
最後に、SPIN話法を習得するための方法についても紹介いただきました。スキル習得の戦略としては、SPIN話法の4つの質問のうち習得したい質問を一つ選び、安全な状況で何度も訓練することが効果的とのことです。三野会員は具体的な習得方法として、三野会員の会社でも実施している「ロールプレイ」を紹介されていました。「ロールプレイ」は参加者同士で買い手と売り手とオブザーバーに分かれて、実際の商談の場をイメージして行います。「ロールプレイ」の効果を高めるためには、想定する「顧客」を細かく設定しておくことと、参加者同士での振り返りの時間を設けることが重要だそうです。
セミナーも盛況なうちに終了となりました。受講者の中には、初めてSPIN話法に触れる方もおり、今後ヒアリングの手法としてぜひ取り入れていきたいという声が上がっておりました。
能力開発推進部では、今後も今回のようなセミナーや勉強会などの企画を通じて、城東支部会員のスキルアップに取り組んで参ります。
(小野内勇人 会員)