学びの場
[2024/09/15] 2024年度 第2回城東スキルアップコース(8月開講)開催報告
9月15日(日)に、城東スキルアップコース(8月開講)の第2回目が人形町区民館で開催され、全受講生24名のうち23名が参加しました。
第2回のプログラムは次のとおりです。
1.課題図書「ロジカル・シンキング」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
2.セミナーコンテンツの作り方(講師:渡辺英史会員)
3.資金繰りと管理会計、収支計画の作成(講師:本田一也会員)
1.課題図書「ロジカル・シンキング」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
課題図書の第1回目は、「ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル」(著者:照屋華子・岡田恵子)を題材に、受講生全員が課題図書の概要について各自2分30秒でプレゼンテーションを実施しました。受講生は事前に課題図書の全体像をA3サイズ1枚にまとめて作成しています。
発表では数名の受講生が2分30秒をオーバーしてしまう場面もありましたが、受講生が各自でスキルアップコース第1回目の講義「伝わる話し方」で学んだテクニックを意識して、抑揚、身振り手振り、滑舌等を工夫しながら発表を行いました。
事前にまとめた資料は、受講生によって課題図書の各章に沿ってまとめたり、図書の中で伝えたい箇所を強調したり、独自の解釈や切り口で綴る等、バラエティに富んだ内容でした。
同じ図書で課題に取り組んでいるにもかかわらず、資料のまとめ方や発表の仕方が十人十色であり、他の受講生の様々な視点を学ぶことができる良い機会に恵まれました。
全員の発表後、鈴木康文講師からフィードバックとともに、課題図書講義の狙いについて解説していただきました。講義を受けて、資料をまとめる技術と発表技術の違いについて意識することの重要性をあらためて実感しました。
2.セミナーコンテンツの作り方(講師:渡辺英史会員)
渡辺英史講師より「セミナーコンテンツの作り方」をテーマに講義を行っていただきました。本講義では、講師登壇への挑戦を目的に、中小企業診断士に求められるセミナーコンテンツの作り方を8つのポイントから解説していただきました。
講義ではまず、「面白いセミナー」とはどのようなものなのか、またコンテンツづくりにあたっての事前準備の重要性について解説していただきました。
次に、参加者のニーズをつかむための手法、スライドのつながりを意識することの重要性、参加者のレベルに合わせたわかりやすい構成、「おみやげ」の用意、効果的な集客方法等、セミナーコンテンツづくりの実践的なテクニックを学びました。
さらに、講義の合間では、渡辺英史講師が実際に講師を行ったときの様子や留意点といったエピソードも聴講することができ、セミナー講師に挑戦するにあたっての具体的なイメージを深めることができました。
3.資金繰りと管理会計、収支計画の作成(講師:本田一也会員)
本田一也講師による「資金繰りと管理会計、収支計画の作成」の講義が行われました。本田一也講師の実務経験に基づくお話は説得力があり、受講生は興味深く聞き入っていました。講義には計4回のワークが取り入れられ、チームでのディスカッションを通じて理解を深めることができました。
講義の冒頭では、資金繰りが経営者にとって最も重要な仕事であり、特に中小企業では資金繰り改善のニーズが高いことが強調されました。また、その一方で多くの中小企業では細かな管理まで手が回らないことも多く、資金繰り表を作成される企業は少ない現状も指摘されました。
特に重要なポイントとして、「借入金の返済原資は利益である」という「収益弁済」の概念が説明され、これを理解している中小企業経営者が少ないことに驚きました。その他、通常の損益分岐点は利益が0になる売上高ですが、借入金がある会社は返済額を賄うぐらいの利益が必要なことから、借入金返済額を賄う損益分岐点を考えることについても学びました。その後、事前課題である資金繰り表の作成に取り組み、借入金の返済を含めた利益計画の重要性や、消費税・法人税の計算方法を学びました。また、一般的な資金繰り表の場合、その後の適時な実績管理において使いづらい面もあるとして、損益と現金の動きを一緒に管理できる資金繰り表も新たに紹介していただき、その理解を深めるワークも実施されました。
最後のワークでは、決算書から資金状況を読み取る演習が行われ、グループでの議論が活発に行われました。本田一也講師からは決算書で確認すべき具体的な項目を教えていただきました。講義の後半では管理会計を基に具体的な収支計画の作成方法を教えていただき、最後には、本田一也講師が実際に関与した企業の事業計画書の事例が紹介されました。このリアルな経営相談のお話に受講生は真剣に聞き入っていました。
4.感想
今回の講義は8月開講コースの第2回目でしたが、いよいよ本格的なスタートを迎えた内容でした。特に「使える中小企業診断士を育成する」という目標が実感できる講義が続き、実務に即した資料やフォーマットを共有していただきました。長時間にわたる実践的な内容で、受講生各位は講師や事務局の方々に対して深い感謝の気持ちを抱いており、今後の活動においてこのコースで学んだことを活かしていきたいと強く感じております。
また、今回第2回目ということもあり、受講生同士で徐々に顔と名前が一致しコミュニケーションが深まり、全体として活性化が見られてきていると思いました。
5.次回(第3回)の予定
日時:令和6年10月19日(土)9:15~16:45
会場:中央区明石町区民館3号洋室+4号洋室
講義内容:
1.課題図書「コトラーの戦略的マーケティング」(講師:鈴木康文会員)
2.金融機関との円滑なコミュニケーション(講師:井上有弘会員)
3.知的資産経営(講師:細野祐一会員)
(菊池美絵子会員、川島紀之会員、種子田康裕会員)