実務の場
[2025/05/29] モルドバってどこ?──外国人経営者の飲食店「NOROC(ノーロック)」を訪ねて
「モルドバって、どこ?」
そんな素朴な疑問をもって出かけた今回の視察。城東支部 国際部では、外国人起業家への支援の可能性を探ることを目的として、2025年5月29日、月例会の終了後に、外国人経営者が運営するモルドバ料理店「NOROC(ノーロック)」を訪問しました。
モルドバは、ルーマニアとウクライナに挟まれた東ヨーロッパの小さな国です。古くはルーマニアに属していましたが、第二次世界大戦中の旧ソビエト連邦への併合を経て、1991年に独立した比較的新しい国家です。日本ではまだなじみが薄い国ですが、ワインの生産地としても知られ、豊かな食文化とともに独自の歴史と伝統を育んできました。
その文化や食を日本で紹介しようと、モルドバ出身の奥さまと日本人のご主人が2014年に開業したのが「NOROC」です。現在、日本で唯一のモルドバ料理店として営業を続けています。
お店があるのは、城東支部管内の葛飾区・亀有。駅から徒歩5分ほどの閑静な住宅街に溶け込んでいる、知る人ぞ知るお店です。店内にはモルドバの伝統的な刺繍模様の壁紙があしらわれており、異国情緒がただよう温かい雰囲気です。
今回は、飲食店という生活に身近な業種を通じて、外国人経営者が日々直面している課題や工夫に触れることを目的とした視察(会食)でした。当初は、どこまでお話をうかがえるか不透明な面もありましたが、調理や接客の合間を縫って、集客の工夫や日々の課題についてお話をうかがうことができました。目下の課題は「人手不足」とのこと。当日はご子息が接客を手伝う姿も見られました。
忙しく料理を運びながら、モルドバの食文化について丁寧に説明してくださったご主人の言葉からは、日本で飲食店を続けていくための試行錯誤と熱意が強く伝わってきました。
参加した診断士からは、「モルドバという国自体を初めて知った」「料理がとてもおいしく、実はワインも有名だという新しい発見があった」といった声が上がり、異文化理解と支援の両面で学びの多い時間となりました。
今後も国際部では、こうした現場視察や経営者との交流を通じて、外国人経営者のリアルな課題やニーズを深く理解し、実践的な支援を考えてまいります。
モルドバ共和国の位置 ウクライナの西隣に位置する(出典 帝国書院)
※店名「NOROC(ノーロック)」は、モルドバの公用語であるルーマニア語で「乾杯」や「幸運」を意味する言葉です。
お店のホームページ https://www.noroc2014.com/
※今回の会食では、モルドバの名物料理である**シャシリク(串焼き料理)**や、**現地から調味料を取り寄せてつくっているチキンと少し麺が入ったザマ(スープ)**などが提供され、現地の味を存分に味わうことができました。もちろん美味しいワインも味わうことができます。ぜひ、みなさんもモルドバ料理の世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。
※お店は、モルドバ出身の奥さまと日本人のご主人が二人三脚で営まれています。今回の視察では、おふたりの温かなお人柄が感じられました(写真は共同経営者である奥様の倉田ディアナ様)