学びの場
[2021/12/12]葛飾区立石図書館ビジネスセミナー
「登山家から学ぶ仕事遭難への備え」開催報告
12月12日(日)の午後2時から、葛飾区立立石図書館にて、ビジネスセミナー「登山家から学ぶ仕事遭難への備え」が開催されました。講師は、中小企業診断士に加え、ITストラテジストの資格を持ち、通信会社に勤務しながら百名山登頂に挑む、登山経験が豊富な内田泰裕会員です。緊急事態宣言の解除を受けて再開された集合形式セミナーの第3弾で、感染予防対策を講じ募集人数を限定した上での開催となりました。セミナータイトルが、「登山家から学ぶ仕事遭難への備え」ということで、参加者にセミナー参加のきっかけを聞いたところ、約7割の方が「登山に興味がある」と答えられました。登山やアウトドアへの関心が高いことがわかります。一方で、仕事・ビジネス分野に関心がある参加者も3割おり、登山と仕事がどう結びつくのか、今日の学びを仕事に活かしたいという期待も高いと感じました。
■セミナーの概要
「登山で得たことは仕事でも活用できる」。ビジネスと登山のプロフェッショナルである内田会員が、登山を通じて経験し身に着けた遭難対策を仕事に応用する方法、具体的には、登山も仕事も遭難せずにゴールへ辿り着く「計画の立て方」と「集中力の高め方」を学びます。まず初めに、遭難の事例について、内田会員自身の道迷いの経験や他の登山家の遭難事例が紹介されました。登山における遭難の主な原因は、驕りや油断からくる準備不足や現在地のチェック不足、危険個所を越えた直後などの油断による集中力の欠如です。それらの原因を踏まえた具体的な対策として、遭難回避のための「計画書」を作成し活用することと「集中力」を高めることが有効で、セミナー前半ではワークを通じて、効果的な「計画書」作りを学んでいきます。
■計画書の作成
登山では、登山届を作成、提出することが推奨されています。登山届には「目的」、「目標」、いつ、どこにいるという「行動計画」およびリスクを想定した「回避策」などを記載します。この登山届をアレンジしたワークシート「仕事届・趣味届」が配付され、仕事について、もしくは趣味についてチャレンジしたいことを想定し、個人ワークの時間で記入を進めました。内田会員から、要所要所で作成にあたってのポイントの説明がありました。1年後に到達したい目標、行動計画、想定されるリスクと対応策を記述していくことで、曖昧な点がクリアになり、遭難回避とゴール到達に向けた道筋が見える感覚を持つことができたのではないでしょうか。
重要なポイントは目的に想いを込めることと計画書を誰かと共有することです。ある大学で、「夢や目標は紙に書くと実現する」。ということを裏付ける実証実験が行われ、実際に夢や目標を紙に書く習慣のある人とそうでない人では、10年後の年収に10倍になったという結果が出たそうです。
■集中力の高め方
終盤では、集中力を高めるための3つのルール(考え方)と4つの習慣(方法)の解説があり、脳の仕組みを知り、対処法を考えるというアプローチは非常に説得力がありました。人間は「シングルタスク」であるため、2つのことは同時にできない。その特性を踏まえ「やらないこと」を決めて目の前の課題を一つ一つ片づけることが重要、集中できる環境を整える、など具体的で試したいと思うテクニックが多く紹介されました。
■最後に
内田会員が登った山や体験談も交えた説得力のある話術により話に引き込まれ、集中が途切れず、気づくとあっという間に2時間が過ぎたという印象でした。また、仕事と趣味の融合により、「目標設定」「行動計画」「「集中力向上」といった、敷居の高いビジネススキルを登山と絡めることで敷居が下がりとても分かり易く理解することができました。
最後に参考図書の紹介とおすすめの東京の山の紹介でセミナーが終了しました。
講義終了後には、参加者から、山登りが仕事に具体的に活かされたエピソードや仕事関連の計画をたてる際の進め方に関する質問のほか、おすすめの登山ルートに関する質問もあり、参加者の関心の高さが伺えました。
紹介された参考図書は、図書館ビジネスセミナーの会場に用意され、閲覧できるようになっています。実際に、休憩時間や帰り際に、参加者が書籍を手に取り閲覧しており、図書館利用との相乗効果を感じる事ができました。
本セミナーの内容は城東支部YouTubeチャンネルで配信中ですので、ご興味のある方は是非、ご覧下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=qm47uI7JPZM
(古山亮一 会員)