学びの場
[2022/01/30]葛飾区立石図書館ビジネスセミナー
「新しいビジネスの種の見つけ方」開催報告
今年も、葛飾区立立石図書館ビジネスセミナーが1月30日(日)午後2時から開催されました。タイトルは「新しいビジネスの種の見つけ方」です。井原順子会員が講師を務めました。新型コロナウィルス感染対策として、席数を30名に限定し、会場入り口では検温と手指の消毒、講義中は定期的な換気を行うなど、出来る限りの感染対策が行われました。当日は20代から70代まで幅広い層の受講者が参加され、会場はほぼ満席という盛況ぶりでした。
井原会員は本セミナーの内容を実務でも実践、新規事業や新商品の企画立案に役立てているそうです。説得力のある内容が期待できます。
はじめに受講者に受講の目的を質問したところ、半分以上の受講者が「起業を検討している」および「新しいビジネスを立ち上げようと考えている」に手を挙げました。すぐにでも実践したいと考えている目的意識の高い受講者が多く参加されていました。
講義は、日本における新規事業の状況について、から始まりました。新規事業の数はコロナ禍の影響で低迷していると個人的には思っていましたが、意外なことに開業件数は2020年に一旦落ち込んだものの2021年4-9月期に過去最多となり、また、副業も増加傾向にあるため、新規事業を始める人が直近では増加しているということです。新規事業を始める人が増えれば日本経済の活性化につながるため、中小企業診断士として創業支援に注力したいと改めて考えさせられました。
井原会員は、ハキハキとした明朗な話し方で一つ一つの言葉が非常に聞きやすく、テンポ良く講義が進んでいきました。受講者も、手元の資料を見るのではなく、顔を上げて、時折うなずきながらしっかり聞いている方が多かったです。
新しいビジネスの種を見つける方法として、「エフェクチュエーション」というサラス・サラスバシー氏(インドの経営学者)の考え方が説明されました。聞きなれない言葉ですが、「手段・資源型発想」と日本語で言われると頭にスッと入ってきました。
簡単に説明すると自分が持っている強みや人脈を有効活用しよう、という発想です。夕食メニューの決め方(先にメニューを決めるまたは冷蔵庫の中の食材でメニューを決める)を例にして分ークで体験しました。自分が持っているものすべてを書き出すワークですが、受講者の皆様は時に頭をかかえて真剣に考えながら熱心にワークシートに記入されていました。本セミナーに対する受講者の本気度を強く感じる瞬間でした。ワークの途中では、井原会員から考え方のヒントが提示されるので、違った角度からも自分の考えを書き進めていくことができました。
講義後半は、「手段・資源型発想」の5つの原則について説明がありました。井原会員の知人という身近な事例から温泉街や海外企業の事例まで、幅広い豊富な事例とともに説明されるので、非常に理解しやすい内容でした。個人ワークで見つけた種を育成するための方について学びました。
最後は、実際に行動するためのベイビーステップを考えました。ここでも多くの受講者が真剣にシートに記入されていましたので、受講後に新しい一歩を踏み出した方が多かったのではないでしょうか。
本セミナーでは、特別なものを欲するのではなく自分がいま持っているものを有効活用することで新しいビジネスの種を見つけることができる、ということを学ぶことができました。例えば中小企業診断士としてお客様をサポートする時にも非常に役立つ考え方だと思います。
講義終了後に、受講者のお一人が「あっという間の2時間で、楽しく学ぶことができました。」とおっしゃっていたのが印象的でした。
図書館ビジネスセミナーでは、テーマに関連する書籍を会場の一角に集めて、閲覧できるようにしています。受講者はそれぞれ関心のある書籍を手に取って閲覧され、実際に貸し出しされた方もいたそうです。
前回につづき、書籍コーナーの隣に中小企業診断士を紹介するパネルを掲示し、中小企業診断士を身近に感じてもらえる展示を行いました。
講義の詳しい内容は、東京都中小企業診断士協会城東支部のホームページで視聴することができます。ぜひご覧ください。
(飯沼正博 会員)