城東支部

学びの場

[2024/1/13] 2023年度 第8回城東スキルアップコース開催報告

1月13日(土)、2023年度城東スキルアップコースの第8回目が京島第二集会所(きらきら会館)にて開催されました。32名の受講生中、26名が出席しました。

第8回目のプログラムは次のとおりです。
1.商店街支援
2. 診断事例(事業承継)
3. M&A

1.商店街支援(講師:大和和道氏)

午前は商店街支援についての講義でした。講師は長年にわたり、商店街における地域活動に携わられた後、商店街の事務局長としてご活躍されており、その実体験に基づき商店街の現状と取組についてご紹介いただきました。
 今回ご紹介いただいたキラキラ橘商店街(正式名称:向島橘銀座商店街)は、関東大震災や戦災の被害を免れた長い歴史を有しています。平成元年には行政の支援の下、カラー舗装を導入するとともに街路灯を一新し、公募により愛称(下町人情キラキラ橘商店街)を導入しました。今では、古い街並みやの近隣型商店街として注目を集めています。          濃密な人間関係が残る地域密着の
 商店街の事業は、販促、コミュニティー及び外部連携を三つの柱として活動が進められています。この内、物が売れていた時代に重視されていた販促活動は節目を迎えており、商店街の役割が「買い物」から「楽しみ」に変化しつつあるなか、次第にコミュニティー活動に重点が移っています。今後は核家族化の進行に伴う人手不足により、外部連携による人材の確保が重要なポイントになっていくと思われます。

商店街の活性化イベントは、静岡市で平成5年に行われた「一店逸品運動」を端緒とし、そこから発展した「まちゼミ」、「まちバル」、「100円商店街」は、商店街活性化事業の「三種の神器」と言われています。このようなイベントを一過性のものとせず、継続的に人々を店に呼び込むには、参加することが重要とのご教示が講師からありました。
     商店街活動に理解がある店舗が
 このような取組を通じたコミュニティーの強化は、例えば災害時への対応力等の機能向上につながっており、商店街は単なる物を売る場を越えた機能を担っています。植物のように地域に根を生やして、人のつながりをつくり、地域コミュニティーの担い手となる、このような話が印象に残りました。
また、講義の後、会場近隣にあるキラキラ橘商店街(向島橘銀座商店街)の散策を個別に行い、休憩所として活用されている事務局事務所など、講義中に紹介された取組の一端を拝見させていただくことができました。講義を通じてお話いただいた内容を現場ですぐに確認することができ、より理解を深めることができました。


2.診断事例(事業承継)(講師:大石正明会員)

午後は大石正明講師より事業承継支援について講義していただきました。本講義の前半に、事業承継支援の概要、相続税・贈与税の仕組みなどについて説明していただき、後半に、実際の企業を題材とした事業承継支援に関するグループワークを実施しました。
本講義では、まず、事業承継には承継する企業に今後の成長が見込まれることが欠かせないというお話を伺いました。中小企業診断士として成長に向けた助言を行うことの重要性を感じました。また、事業承継支援では、成長に向けた助言だけでなく、承継に向けて課題を整理する上で最低限の贈与税、相続税の知識も必要となります。これらの点について、実例を交えながら説明していただきました。
グループワークでは、実際の企業の財務諸表を使い、事業承継に関する課題や問題点を洗い出し、中小企業診断士としてどのようなアドバイスを行うか、グループに分かれて検討し発表しました。グループ内での検討では講義で学んだ知識を活用して受講生同士で意見交換することで、様々な気づきを得ることができました。また講師による講評では、実際に考慮された観点や助言内容を説明していただきました。グループ内の検討で不足していた観点もあり、多くの気づきを得ることができました。
経営者の高年齢化が進むなか、事業承継はますます重要となり、中小企業診断士としての役割や責任も大きくなります。未来につながる支援をできるよう、より一層の研鑽をしていく必要があると思いました。


3.M&A(講師:近藤尚樹会員)

事業承継支援と関連が強いM&Aについて、近藤尚樹講師より講義していただきました。
M&Aの概観、主なスキームと留意点、M&Aのプロセス、企業価値評価の方法、PMI(Post Merger Integration)の概要や実施フローなど、昨今の事例や講師のご経験を交えながら講義していただきました。基本的な知識に加え、売り手側と買い手側の両面からM&Aのポイントやプロセスを説明していただき、理解を深めることができました。
M&Aは実施件数が増加し、官民一体となって対応が進められています。中小企業診断士として関わる機会も多くなると感じました。引き続き、学びを深めていきたいと思います。


4.感想

午前の講義は、大和和道講師の実体験に基づく臨場感溢れるスピーチで、具体的な商店街活性化の手法、リーダーとしての在り方など、深く考えさせられるとともに商店街の新たな可能性を感じてワクワクしてきました。午後の講義は、今後、中小企業を支援する診断士として、「事業承継」「M&A」の基本知識が必要不可欠になっていると痛感しました。
城東スキルアップで学んだことを自分のなかで醸成させ、中小企業に必要とされる真の中小企業診断士を目指して頑張っていきたいと思います。

5.次回(第9回)の予定

日時:2024年2月4日(日)9:15~17:00
会場:中央区 人形町区民館(中央区日本橋人形町二丁目14番5号)

講義内容

1.課題図書「マッキンゼー経営の本質」(講師:鈴木康文会員)
2.中小企業のIT支援(講師:高仲秀寿会員)
3.診断士の仕事の取り方(講師:吉岡雅樹会員)

(五閑統一郎会員、池田祐三会員、田渕二郎会員)

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