学びの場
[2023/12/02] 2023年度 第7回城東スキルアップコース開催報告
12月2日(土)、2023年度城東スキルアップコースの第7回目が中央区立佃区民館にて開催されました。32名の受講生中、24名が出席しました。
第7回目のプログラムは次のとおりです。
1.課題図書「ストーリーとしての競争戦略」受講生発表
2.課題図書「ストーリーとしての競争戦略」グループワーク
3.創業支援
1.課題図書「ストーリーとしての競争戦略」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
課題図書の4回目は、「ストーリーとしての競争戦略(著者:楠木 建)」を題材に、受講者が各自2分半のプレゼンテーションを実施しました。
今回が4回目ということもあり、受講生それぞれのプレゼンテーションに創意工夫が盛り込まれていました。質問を投げかけて話に引き込む、本を極力シンプルにわかりやすく要約しようと試みる、実体験になぞらえて著者のメッセージを具体的に話す等、これまでの講義で習得したスキルが多様に発揮されていました。これらはまさに、城東スキルアップコースが学びの場であると同時に実践の場でもあることがよく表れている瞬間となりました。最後に鈴木康文講師からあらためて本著の要点と中小企業診断士としておさえておくべきポイントを解説いただき、この後に続くグループワークの前提となる知識が定着しました。
2.課題図書に関するグループワーク(講師:鈴木康文会員)
課題図書にまつわる学びの機会として、今回はグループワークを行いました。まずファシリテーターを担当する鈴木康文講師から事例企業が示され、「コンセプト」「クリティカルコア」「因果関係」など書籍で記されていた要点となっているものは何か、グループに分かれて討議し発表しました。示された問いに答えるには事例企業の情報から重要な要素を抜き出し、その背景を含めて深堀しなければなりません。ターゲット顧客・販路・製品・人材育成といった各要素がどのような因果関係のもとに一貫性をもって運営されているのか、その背景にあるビジョンとは、などさまざまな意見が飛び交います。グループごとの発表では示された問いに対するさまざまな着眼点、それに加えて中小企業診断士として課題が潜んでいると考えるポイント、など議論の結果が共有され、受講生の引き出しを増やすのに効果的な内容となりました。
3.創業支援(講師:鈴木美穂子会員、熊谷友貴会員)
午後はまず鈴木美穂子講師により事前収録された創業支援の講義があり、その後に講義内容を実践的に活用した創業支援に関するグループワークを行いました。
創業支援では支援対象者が経営者ではなく、場合によってはビジネスアイデアのみお持ちの状態であることも少なくありません。そうした相談者の方を、経営者として独立できるようになるまで支援する必要があると学び、難しさと共にやりがいのある仕事であると気づかされました。創業支援の相談員業務は事前に情報を下調べできる余地も限られるためさまざまな業界にアンテナを張り、日ごろから情報収集を怠らないことが重要とのお話も伺い、大変印象に残りました。
次に、東京都の創業支援と市区町村の特定創業支援の概要を理解し、創業計画書作成のポイントを学びました。創業までのステージを4つに分け、それぞれのステージに応じてどのような支援をすべきか順を追って理解でき、自ら実務を担う立場になったときを具体的にイメージできる大変実践的な学びを得ました。
後半では5~6名のグループに分かれ、「課題を明確にして、創業戦略とビジネスモデルをつくる」というワークに取り組みました。熊谷友貴講師がファシリテーターとして議論と発表を取り仕切られました。このワークでは実際の創業支援事例に基づく架空の事例が3つ示され、その中からグループごとに無作為に1つを選び、創業に向けた課題・戦略・ビジネスモデル立案まで議論します。限られた時間の中でも効果的な提案ができるよう活発に議論し、伝わりやすい構成に仕上げたうえで3分間ずつグループ発表を行いました。
各グループの発表が一巡したあと、熊谷友貴講師から実際の相談事例がどのような展開をたどったのか説明がありました。実際の事例では、初期投資を極力おさえ、小さく試しながら段階的に広げ、事前に計画したことと実際に起きることのギャップを相談者自身が理解・納得しつつ進めるような支援をされていました。相談者一人一人に対して実現可能なレベルにまで落とし込んだ提案が不可欠であることを痛感するとともに、私たちの提案が創業者の人生を変えていくとの自覚と責任を持たねばならないと襟を正しました。
4.感想
今回で4回目となった課題図書の発表では、過去の課題図書の知識を生かした発表や、内容を自分の経験に当てはめた発表が多く、発表内容の構成も含めて練り上げられたものとなっていると感じました。また、創業支援の講義では、相談者の夢や希望に寄り添いつつ、さまざまな課題に自ら気づき、行動していただけるような「伴走支援」が大切であることに気づかされました。
5.次回(第8回)の予定
日時:2024年1月13日(土)9:15~17:00
会場:墨田区 京島第2集会所(東京都墨田区京島3丁目52番8号)
講義内容
1.商店街支援(講師:キラキラ橘商店街 事務局長 大和和道氏)
2.診断事例(講師:大石正明会員)
3.M&A(講師:近藤尚樹会員)
(沖 忠彦 会員、佐々木祥 会員、小嶋秀和 会員)