学びの場
[2024/07/06] 2024年度 第2回城東スキルアップコース開催報告
7月6日(土)、2024年度城東スキルアップコースの第2回が月島区民館にて開催されました。30名の受講生中、26名が参加しました。
今回のプログラムは次のとおりです。
- 課題図書「ロジカル・シンキング」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
- BMC(ビジネスモデルキャンバス)を活用した中小企業支援(講師:平山弘之地域ビジネス開発室副室長)
- 知的資産経営(講師:細野祐一副支部長)
1.課題図書「ロジカル・シンキング」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
課題図書「ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル(著者:照屋華子・岡田恵子)」の要約と学びを伝えるプレゼンテーションを行いました。受講生は事前にA3サイズ1ページで内容を要約し、2分30秒の持ち時間で発表しました。発表後は、今後のレベルアップに活かすために、それぞれが受講生全員分のフィードバックコメントを作成します。
資料の構成の仕方、プレゼンの工夫は受講生により様々で、自らに不足している点や、取り入れたい工夫などが客観的に理解できる、学びの多い時間になりました。コンサルタントとして非常に重要な基礎となる、要約、資料作成、プレゼン、フィードバックの技術を、受講生一同が切磋琢磨してスキルアップしたいと思います。
2.BMC(ビジネスモデルキャンバス)を活用した中小企業支援(講師:平山弘之地域ビジネス開発室副室長)
平山弘之講師から、ビジネスモデルキャンバス(以下BMC)を用いた、中小企業支援の取組みをご紹介いただきました。BMCとは、ビジネスモデルの構造を要素に分割し、可視化するためのフレームワークのひとつです。
地域ビジネス開発室では、BMCを企業の診断ツールとして活用できるか、企業へのトライアルを通して有効性を検討しており、今回その取組み事例をご紹介いただきました。結果としては、BMCを用いることで網羅的に情報整理ができ、企業診断の中の「事実の把握」「課題認識」「優先順位づけ」に有効だとわかりました。注意点としては、目的によって向き不向きがある点です。全体像や機能間のつながりが整理できていないとき、新たな事業・サービスを始めるときには向いています。一方、時系列での変化を整理したいとき、多事業が同時進行しているときは不向きであると説明を受けました。
後半は、コーヒーチェーン店を題材に、実際にBMCを用いたビジネスモデルの分析を行いました。受講者の作ったBMCシートをAIが評価する機能や、BMCシートをAIで自動作成する機能もご紹介いただき、理解を深めることができました。向き不向きや、注意点を理解したうえで、企業診断の情報整理にBMCを積極的に活用していきたいと思います。
3.知的資産経営(講師:細野祐一副支部長)
細野祐一講師より、知的資産経営の講義を行っていただきました。本講義では「なぜ、知的資産を見える化して経営すると経営が良くなるのか」と「どうやったら会社が一体となって変革に挑めるのか」の2点を、ご説明いただきました。
本講義は①知的資産経営について、②知的資産経営診断ツール「ローカルベンチマーク」、③将来を考えるツール「経営デザインシート」、④知的資産経営支援事例、⑤ワークの5つのパート構成で行われました。①の知的資産とは企業における競争力の源泉となるもので、財務諸表には表れてこない無形の資産であり、強みのことです。具体的には、知的財産や組織力、人材、顧客とのネットワークなど会社の強みとなる目に見えにくい経営資源の総称のことです。
知的資産経営は、全ての経営改善の一番のベースで、知的資産を見える化して共有し、強化・改善しながら、組合せて価値を実現することで、業績向上を図っていくものであると学びました。知的資産の本来の意味と活用の方法について、教わることや考える機会がなかったので、大変新鮮に感じました。
②と③の経営診断ツールでは、「ローカルベンチマーク」、「経営デザインシート」をご紹介いただきました。そのツールを活用して、知的資産の棚卸や価値ストーリーの組立てを行って、知的資産経営報告書を作成していくプロセスを分かりやすく学びことができました。
知的資産経営の期待効果については、従業員のモチベーション向上や採用面での活用、金融機関での事業性評価につながるなど、多くの効果が期待できる手法だと感じました。
④では、2つの事例をご紹介いただきました。事例を通して、知的資産と現場の課題の見える化を行うことで、売上・利益の向上につながっていることを学びました。「なぜ、知的資産を見える化して経営すると経営が良くなるのか」を実感できました。
グループワークでは、事例企業の知的資産経営報告書を評価するというテーマについて全員で考えました。5~6人のグループでディスカッションし、考えた内容を各グループが発表しました。事例の報告書は一見すると、よくできているように見えましたが、どのグループも競合や外部環境分析などの考慮がなかったなど、改善点を見つけ、活発に発表しました。
この講義によって、自分も含めて受講生が気付きを得られたと感じます。
4.感想
初めての課題図書では、2分30秒が非常に短く感じられ、聞き手にしっかり伝えることができたのかわからない状況で終了してしまいました。2回目からは、1回目の経験とフィードバックを踏まえ、更なる改善につなげていきたいと思います。
BMCと知的資産経営については、経営支援で必須なフレームワークを学びました。経営診断の実務で、学んだことを活かしたいと思います。
5.次回(第3回)の予定
日時:2024年8月3日(土) 9:15~16:45
場所:浜町区民館(7号洋室) 中央区日本橋浜町三丁目37番1号
講義内容:
1.図書館セミナー 企画とコンテンツ(渡辺英史講師、佐藤宗一講師)
2.伝わる話し方(一色映里氏 ストラーダ合同会社 代表社員)
(久木茉優子会員、市村元秀会員、長山萌音会員)