城東支部

学びの場

[2024/1/14]葛飾区立中央図書館オンラインビジネスセミナー「『図形』で読み解く決算書 目で見てスッキリ!!決算分析のいろは」開催報告


2024年1月14日(日)の午後2時から、葛飾区立中央図書館オンラインビジネスセミナー『「図形」で読み解く決算書 目で見てスッキリ!!決算分析のいろは』が開催されました。講師は、保険、M&Aの仲介や組織づくりのコンサルタントの職務経歴を持ち、延べ1,000人以上の中小企業経営者への豊富な支援経験を持つ野見山佳紀会員です。全国の商工会などからの依頼を受け、セミナー開催の実績も豊富です。2023年度のビジネスセミナーは、立石図書館でのリアルセミナーが3回、中央図書館でのオンラインセミナーが4回(うち1回はハイブリッド)実施され、今回が第一弾となります。


 セミナー概要
「中小企業の経営者のほとんどの方が決算書を理解されていない」という野見山会員の経験をもとに、今回のセミナーは「本当は決算書を理解して経営に生かしたい」と思っている中小企業の社長さんや、経理を担当している奥さんなどの方々を対象としています。「分かりやすい決算書の読み方」をテーマにしているため専門用語をできる限り少なくし、使う場合は丁寧な説明を行っているのが特徴です。
セミナーは「決算分析・読解を楽しく学ぶ」ことを狙いとしています。そのため、決算書を「図解した絵」として見せながら、楽しさを感じさせる工夫が盛り込まれていました。例えば、少しずつ内容をステップさせる展開や、合間に「決算書に関する歴史」を挿入するなどです。「決算書を目で見て学ぶ、そして、楽しく学んでいきたい」という野見山会員の言葉通り、参加者が飽きずに2時間楽しめる内容でした。参加者は30名を超え、セミナー終了まで退出者のない、有意義なセミナーとなりました。



(1)決算書の仕組み
 決算書の仕組みについて説明する前に、決算書を構成する3つの書類(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)とその略称(BS、PL、CF)、それぞれの内容について、丁寧に時間をかけ「参加者との認識合わせ」をされました。決算書の仕組みを分かり易くために必要な準備でした。
1章は、貸借対照表と損益計算書の2つに絞って説明されました。貸借対照表の説明では、「会社の資産がどれだけあって、負債がどれだけあって、正味の資産(純資産)どれだけあるのか、まずは、これが分かればOK」と、細かい項目を省き内容を簡易に表現しました。また、簡易に表現した「資産」を、車や建物、商売のために仕入れた商品など、参加者がイメージしやすく例示しました。「確かに分かり易い」と感じる説明でした。自分では理解していると思っている決算書も、理解できていない人に伝えるためには、これほどの丁寧な説明が必要なのだと改めて認識する良い機会となりました。
「息抜きしながら話をひとつ」とはじまった決算書の歴史の話では、意識を変えることで本当に息抜きができたことに驚きました。

(2)「図形」で読み解く
2章は、貸借対照表と損益計算書を使い、収益性と安全性の2つのポイントを「図形」で読み解く内容でした。イタリアンレストランと移動クレープ屋という2つのお店を比較しながら、「どちらが儲かるか」、「どちらが倒産しにくいか」、という例題に参加者と一緒に取り組みました。
イタリアンレストランと移動クレープ屋、それぞれの貸借対照表と損益計算書の条件(図形化した金額)を提示します。1章で説明した内容に合わせ貸借対照表は、資産、負債、純資産の3つ。損益計算書も売上、費用、利益の3つ。使用する数字にも計算をやすいよう配慮がなされていました。また、参加者が例題に取り組みやすいよう、「考える時間の確保」や「参加者の心理的な不安の解消」に努めていました。
そのような講師の配慮が参加者の意欲につながり、例題に対し参加者から質問が寄せられました。


(3)応用編で読み解く
 3章は、2章で用いた例題を用い「1年後の貸借対照表と損益計算書」を考える応用編でした。1年後の「どちらが儲かるか」、「どちらが倒産しにくいか」の答えが2章の答えと逆転する内容でした。まさに数字で見るよりも「図形」で見ることで読み解きやすいと感じる例題でした。参加者のみなさんも、2章で読めるようになった貸借対照表と損益計算書について、3章の例題を通し「実際の経営に生かすことができる」と思える内容でした。

(4)最後に
 野見山会員の豊富な経験に基づく参加者に寄り添ったとても有意義な2時間のセミナーでした。入念な事前準備に加え、聞き取りやすい語りやジェスチャーも参加者を惹きつけていました。講師も想定していなかった「参加者からの鋭い質問」に対しても、慌てることなく落ち着いた診断士としての立ち振る舞いで対処されていました。

本セミナーの内容は城東支部YouTubeチャンネルで配信しますので、ご興味のある方は是非ご覧下さい。

(竹下健二郎 会員)

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