城東支部

学びの場

[2024/2/4] 2023年度 第9回城東スキルアップコース開催報告

2月4日(日)、2023年度城東スキルアップコースの第9回目が人形町区民館にて開催されました。32名の受講生中、21名が出席しました。

第9回目のプログラムは次のとおりです。

1.課題図書「マッキンゼー経営の本質」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)

  • 課題図書 グループワーク(講師:鈴木康文会員)
  • 中小企業のIT支援(講師:高仲秀寿会員)
  • 診断士の仕事の取り方(講師:吉岡雅樹会員)

1.課題図書「マッキンゼー経営の本質」の受講生発表(講師:鈴木康文会員)
課題図書の最終回は、「マッキンゼー経営の本質(M・バウワー著)」について、受講生全体で、各自2分半のプレゼンテーションを実施しました。

課題図書のプレゼンテーションも5回目ということもあって、物語形式の発表、著者のことが書かれている図書をもとにした発表、偉人の言葉を引用した発表、時事ネタを用いた考察など、様々な工夫が見受けられました。また、最終回ということで、今までの課題図書を総括した内容のプレゼンも多く、感慨深いものがありました。

課題図書を通じて受講生同士が切磋琢磨し合い、回を重ねるごとに、全員のプレゼン力や資料作成のスキルが向上していきました。毎回、準備が大変でしたが、貴重な経験となりました。

   

2.課題図書に関するグループワーク(講師:鈴木康文会員)
課題図書発表後のグループワークでは、今年度課題図書の理論振り返りと次に読みたい経営理論図書について、グループに分かれて議論を行いました。

今年度の課題図書4冊についての振り返りでは、課題図書ごとに、理論の概要及び、大石正明会員の「大石ピラミッド(注釈)」のどの分野の経営理論をカバーしていたのかを議論しました。グループで議論することにより、4冊の理論内容の復習及び、それぞれの関連性を振り返ることができ、より理解が深まりました。

次に読みたい経営理論図書については、受講生同士で推薦図書案を持ち寄り、推薦理由とともに発表を行いました。今回の課題図書5冊に関連する本だけでなく、コトラー理論を覆す新しい視点でのマーケティング理論本、教科書的な基本書から最新の理論本まで、26冊の様々な図書の紹介があり、受講者は興味深く聞き入っていました。

(注釈)大石ピラミッドとは、経営の原理・原則をピラミッド構造で見える化した概念図。最上位概念の「経営理念(原理)」から、「経営ビジョン(原則)」「経営戦略(基準)」「経営戦術(方法)」「経営実行(実践)」の順に具現化していく考え方。

3.中小企業のIT支援(講師:高仲秀寿会員)
午後は高仲秀寿講師より、中小企業のIT支援について講義していただきました。内容は3部構成で、近年のビジネス環境のなかで診断士が支援者にどのように関わっていくかという内容でした。

まず最初に、「コロナによって変わったビジネス環境」というテーマでお話を伺いました。コロナ禍で設けられた各種補助金を受けて始めた事業を、アフターコロナの中でどのように維持・発展させていくのかが今後の課題であるとご教示いただきました。

次に、「中小企業とIT支援と診断士」というテーマで、中小企業のITの現在地を踏まえての、IT診断士として生きる道を具体的なIT支援の進め方とともに説明していただきました。

特に「中小企業の売上に対するIT投資比率は1%未満が7割を超える」という現実は、大企業のそれとは大きく異なるという気づきがありました。

また、現場で生じている問題点の1つに支援側の専門家が足りず、ITに詳しくない中小企業診断士も支援に関わっていく必要があります。その支援のポイントには、(1)カバーできる範囲は広く、(2)実行支援のニーズに対応する、(3)すぐにITツールを提案しない、の3つがあり、それらをグループワークで議論したことで、より理解を深めることができました。

最後に、「公的支援制度とIT活用事例の紹介」というテーマで、公的支援制度とIT活用事例の紹介を、高仲秀寿講師のご自身の経験とともにお話いただきました。今後IT支援のニーズが高まるなか、中小企業診断士として支援をしていくうえで大変参考になる内容でした。

 

4.診断士の仕事の取り方(講師:吉岡雅樹会員)
吉岡雅樹講師より「診断士の仕事の取り方」について講義いただきました。吉岡講師の実体験や深い洞察に基づくお話を通して、「今日から行動できる実践的な知識・ノウハウ」を学びました。中小企業診断士の資格だけでは仕事を取るのは難しい――若手診断士の多くが感じるこの現実に対して、吉岡講師から大きな指針を与えていただきました。

中小企業診断士として仕事を獲得し続けるためには、まさに中小企業がそうするように、診断士自身の「戦略的な仕組みづくり」が不可欠です。講義では、3つのサービス:「あげるサービス」「売れるサービス」「売りたいサービス」の組み合わせの重要性について学びました。そして、その組み合わせのなかから、戦略的に第三者からの評価を高め、仕事の獲得につなげるという仕組みづくりの方法を学びました。

また、「笠地蔵」「風が吹けば桶屋が儲かる」を題材としたグループワークでは、中小企業コンサルティングの本質や、仕事を創造するためのネットワーク活用法について洞察を深める機会がありました。そして、受講生同士がスキルやキャリアを認識し、共有することこそが、価値を生み出す仕組みづくりの第一歩であることを学びました。

2023年度スケジュールが終盤 を迎え、「城東スキルアップコースで得たものから何を生み出せるか」を問われている受講生にとって、非常に示唆に富む講義となりました。



5.感想
今回で課題図書は最後でしたが、課題図書を通じ、経営理論図書と時間をかけて向き合う楽しさを知りました。グループワークで紹介された書籍は興味深いものばかりでしたので、計画的に読んで学びを深めたいと思います。

午後は、城東スキルアップコースも終盤ということで、より実践的な講義内容・グループワークでしたので、今後の診断士活動に向き合う時間となりました。また、講義を通じ、受講生同士のつながりの大切さを実感しましたので、このつながりをもとにより良い診断士活動につなげていきたいと感じました。

 

6.次回(第10回)の予定
日時:2024年3月3日(日)9:1517:00
会場:中央区人形町区民館(中央区日本橋人形町二丁目14番5号)

講義内容
1.製造業診断(講師:松井支部長)
2.まとめ/成果発表/修了式

(森晴美会員、坂平雅信会員、野見山佳紀会員)

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