城東支部

学びの場

[2025/03/23]葛飾区立中央図書館ビジネス連携セミナー 「売れる立地を理解する!トラブルを回避するための「出店のキホン」」開催報告

2025年323日(日)、葛飾区立中央図書館ビジネス連携セミナー「売れる立地を理解する!トラブルを回避するための「出店のキホン」」が開催されました。

講師は、宅地建物取引士や販売士の資格を持ち商業施設の開発、運営に従事しながら中小企業診断士としても活動する田部井貴之会員です。

今年度は立石図書館でのリアルセミナーが2回、中央図書館でのオンライン/リアルハイブリッドセミナーが4回予定されており、今回のセミナーは中央図書館での第4弾です。

セミナー概要

本セミナーでは、売れる立地の特徴を理解することから物件契約での注意点、出店に必要なお金に関することまで、初心者にも理解しやすい丁寧な説明があり、特にこれから出店を考えている方々にとって有益な内容でした。
 立地を分析する際に使う「足の速さ」や「角の数」といった言葉は多くの参加者にとって初めて耳にする言葉ではないでしょうか。
 当日はリアル参加者、オンライン参加者含め、幅広い年代の方にご参加いただきました。

(1)立地の基本

売れる立地の特徴は「街」と「店」の調和にあります。この理解を深めるには、以下の2点の解像度を高める必要があります。

  1. 街に対する理解を深める
  2. 店が提供するサービスを明確化する

1については出店計画として後述の(2)で詳しく取り上げ、2については「誰に、何を、どのように提供するのか」を明確にすることで、店のサービスの具体性を高められると解説がありました。

(2)出店計画

街の理解を深めるために、以下の2つの分析手法の説明がありました。

  1. 定量分析:「jSTAT MAP」などのツールを使用した分析方法と、講師の実体験に基づく飲食店出店検討事例
  2. 定性分析:「働く、住む以外の街の機能」や「人の流れの速さ」といった商業性のある街の見極め方について、講師の知見に基づいた解説

これらの内容を踏まえ、当日配布したワークシートを用いて出店計画の作成方法を説明していきました。

(3)契約の基本

契約の基本として、以下の3点の解説がありました。

  • 物件借用時の契約形態(定期借家契約、普通借家契約)と物件の条件(居抜き物件、スケルトン物件)について、それぞれの特徴やメリット・デメリット。
  • 物件内見時の注意点として、空調設備、分電盤、水回りの位置などを確認する重要性。
  • 都市計画法による用途地域に基づく、店舗出店に関する法的制約の理解。

(4)初期投資と事業計画の基本

更に、店舗開設に必要な費用計算の基本的な考え方を説明していきます。

特に注意すべき費用として「撤去費用」を挙げ、スケルトン物件の退去時に発生する工事費用の重要性を強調します。

 売上が伸び悩んだ後に撤去費用が必要となる可能性が高いため、事前に資金をプールしておくことの重要性を説明し、また、飲食店の場合は「FLR比率」(売上に占める家賃の割合)を考慮して、売上計画に見合った物件選定を行うことを提案します。

 

(5)おわりに

最後にセミナーのまとめと関連する書籍の紹介、質疑応答が行われました。居抜き物件の活用法など多くの質問が寄せられ、終了後も講師へ個別に相談をする参加者の方々の姿が見られました。

今回のセミナーは、話のテンポが非常に良く、軽快に進行しました。内容もわかりやすく、興味を引く構成で、気づけばあっという間に時間が過ぎていました。参加者の多くが「もっと聞いていたい」と感じるほど、引き込まれるセミナーでした。

本セミナーの内容は、城東支部のYouTubeチャンネルで配信中です。非常に学びの多いセミナーですので、ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/channel/UC02aQ5x96w0Qm5ZE-PRp1Lg/videos

(土屋崇行 会員)

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