実務の場
[2023/12/01] 国際コラム 在日外国人中小企業及び留学生への支援と各国大使館訪問
日本政府は新型コロナウイルス発生後、多彩な中小企業支援を実施したが、在日外国人中小企業は支援内容を読めず、また申請書を書けないことが多いため、日本政府の支援策をほとんど得られず、極度の困難に陥った。海外勤務時に、当該国の方々に多大なご支援、ご協力を得たことを思い、多少なりとも恩返し、恩送りするため、在日外国人中小企業の支援をしている。
まず、自社ホームページで在日外国人中小企業を支援していることや補助金等の最新情報について英文で情報発信したほか、タイ、ネパール、フィリピン、モンゴル、インド、チュニジア、カンボジア、スリランカ、ウズベキスタン、バングラデシュなどの大使、公使、書記官等と面談し、活動内容を説明した。その中で、特にタイとネパールに関する活動について記載する。
タイ大使館を訪問した際、在日タイ留学生協会を紹介され、英語による創業支援セミナー(下図)を開催することとなった。会場に約40人、リモートに約1,900人の参加があり、一部の希望者に対して、その後3ヶ月間にわたり毎月1回、詳細な創業支援セミナーを継続した。最終回には、受講者の創業計画書を発表していただいたが、非常に優れたものであった。
タイは日本と同様、少子・高齢化が進んでおり、2045年の人口ピラミッドは下図(左)のとおりである。このため、タイ大使館に墨田区と江東区で実施した「シニア・定年者創業支援セミナー」の話題を提供したところ、バンコクのタイ科学技術庁と駐日タイ大使館のウェブ会議に参加するよう依頼された。その後、タイでは政権交代があったため、現時点では進展がないが、日本と同様なニーズは高まるものと想定しフォローしている。
ネパール大使とは某所で立ち話した機会に活動内容を簡略説明したところ、高い関心を示され、別途、大使館に来るよう依頼された。このため、面談日程調整のメールを何回も送信したが、超多忙で日程確保できず、しかし毎回、大使直筆のメールが届いた。10回程度のメール交換後、大使からネパール国家記念日式典及び夕食会の招待状が個人的に届き、直後に大使館スタッフによる宛先多数の招待メールも届いた。式典は盛大なものであり、ネパール人だけでなく、周辺国の外国人、日本人など多数招待されており、ネパール料理のほか、ネパール舞踊(上図右)なども披露された。日本・ネパール友好議員連盟の二階会長(自民党衆議院議員)のご挨拶もあり、名刺交換する機会を得て、在日外国人中小企業支援について簡略説明した。
ネパール大使との面談は、粘り強くメール交換した結果、初回の立ち話から約4ヶ月後に日程決定した。ところが、面談当日、急に、大使館ではなく大使公邸に来るようにとのメールが届いた。ホームパーティーでもしてくれるのかな、あるいは危ない話かな、などと思いつつ大使公邸に向かった。中目黒にアンバサダーレジデンスというマンションがあり、10カ国弱の大使が入居している公邸であった。厳重な警戒の中を通り過ぎると、前方から大使スタッフが迎えに来てくれた。当日は大使館が閉館したため、急遽、面談場所を変更したとのことだった。ネパール大使館にはいつでも訪問できるが、大使公邸は容易には入れない場所であり、今回は非常に幸運であった。在日外国人中小企業及び留学生への支援の説明に対して多数の具体的な質問があり、次の展開が期待されるものであった。
城東5区は外国人人口が多く、東京23区のうち新宿区に次ぎ2位~4位を占めている(東京都統計、2023年10月1日現在)。今後とも各国大使館等とも連携しながら、在日外国人中小企業及び留学生への支援を継続・強化する考えである。
(国際部 山川 博久)