城東支部

実務の場

[2025/05/30] 東京信用保証協会登録専門家の交流会を実施

城東支部能力開発推進部では530日、第2回となる東京信用保証協会登録専門家の交流会を開催しました。

各地の信用保証協会では、信用保証を利用する中小企業に対して様々な経営課題の解決をサポートするために、中小企業診断士などの専門家を派遣する制度を設けています。東京都中小企業診断士協会は東京信用保証協会からこの専門家派遣の委託を受け、城東支部でも専門家として登録された会員が事業者支援にあたっています。

本交流会は、専門家派遣に従事する診断士が集い、事例の共有や意見交換を通じてプロの診断士として研鑽しあうことを目的とするものです。昨年11月に初めて実施して好評を博しました。今回は28名が参加して東京都中央区の人形町区民館で第一部の情報交換会を行い、さらに第二部の懇親会まで、お互いの経験談を語り合いました。

参加者には登録専門家として経験の長いベテランもいれば、登録されて間もない専門家も含まれています。支援先の経営者から信頼を得るための心得や、取引金融機関の担当者が同席される場合の接し方など、専門家同士の経験やノウハウを共有することが可能になります。経験の浅い専門家にとっては不安の解消やスキルアップにつながります。第一部の前半では3名から経験談や事例を発表してもらい、後半は2つのテーマのグループワークで意見を交わしました。

 

開会にあたっては、最初に入山央能力開発推進部長から、信用保証協会による代位弁済の状況などを交えて、専門家に求められる役割について触れられました。続けて松井淳支部長の挨拶では城東支部の登録専門家への期待が述べられ、藤田宗男会員、屋代勝幸会員、吉岡雅樹会員の3名による支援事例共有へとプログラムが進みました。

 

【専門家による情報共有】

最初に登壇した藤田会員からは、事前に聞いた経営状況よりもはるかに厳しい局面だった事例が紹介されました。多くの関係者も想定していなかった経緯に対して、どう対応したのか。担当した専門家本人からの臨場感あるプレゼンに会場の関心は一気に高まり、参加者から事例を自分ごととしてとらえた活発な問題提起がされました。想定外の事態に対して①動じないメンタルタフネス、②引き出しを多く持った解決力、が重要であることを共有しました。

次の屋代会員による発表では、数多くの業種や課題に直面してきた経験に基づいて、中小企業診断士として対処する方策を共有してもらいました。支援に使えるツールとして「ローカルベンチマーク」など準備していくとよいという具体的なアドバイスも頂戴しました。

トリとなる吉岡会員からの発表は、経験豊富な専門家だからこそ説得力をもつ、基本的な心得を含むものでした。中小企業経営者にとって初対面の中小企業診断士はどのように映るのか。まずはサポートをするためにここに来たということを理解してもらう必要があるということを、失敗談を交えて語っていただきました。ここでも、経営者にとって役に立つ情報を用意していくことの大切さが指摘されました。

【ワークショップ】

第一部の後半は、2つのテーマを設定してグループワークを行いました。テーマ1は「想定外の事象が発生した際の対応について」、テーマ2は「経営者のやる気を引き出し主体的に取り組んでもらうための対応方法」です。6つのグループに分かれ、テーマごとにメンバーを入れ替えて、合計1時間で濃密な議論が繰り広げられました。

「想定外の事象」については、各グループともエピソードが挙げられ、苦労しながら切り抜けてきた様子が語られました。総意としては、最初の想定と異なることは特別なことではないということ。そして、現場対応力が大事であるとともに、幅広く話題展開できるような事前準備をしていきたいといった意見が多く聞かれました。

「経営者のやる気」に関しては、多方面からのアイデアが交わされました。経営者に現状をよりよく理解していただくためにたとえ話など交えて分かりやすく説明すること、目標を具体的に挙げてもらって主体的な動きを促すといった意見がありました。行動を後押しするには補助金などのメリットを示すこともあります。現状の悪い点ばかりを指摘するのではなく、良い点を褒めて受け入れてもらうことも必要であるという意見も印象に残りました。

第二部は近くの中華料理店での懇親会となり、熱気を帯びたまま各テーブルで話が弾みました。城東支部の登録専門家が経験とスキルを共有する交流会は、今後もぜひ続けてほしいという声を多く聞くことができました。

城東支部能力開発推進部では、支部会員の能力向上の機会になるべく、こうした情報共有の場を継続して作っていきたいと考えています。

 

(能力開発推進部 宮田昌尚会員)

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